第8話 曹操 孟徳

青州の黄巾賊を何とか追い払う事に成功した劉備軍は即座に徐州に帰還した。劉備軍が帰還した頃には、徐州の黄巾賊の勢力もすっかり衰えおり、残りの軍勢も簡単に殲滅できた。


「これで、広宗と潁川の黄巾賊の動きも鈍るだろう」


「そうですね。事実、広宗の方は良い様です」


「・・・潁川の方は?」


「朱儁軍が波才軍と激突しましたが、敗走。現在は皇甫嵩軍と長社で包囲されて籠城をしているようです」


「はぁ~、分かった。 急ぎ、救援に向かう」


「お気をつけて」


長社 城内


「申し訳ない、皇甫嵩殿。この様な事になって、全て私の失態だ」


「イヤ、むしろ良い事だ」


「良い事?」


「我らにとって良い風が吹いているぞ」


「・・・?」


長社周辺では強い風が吹いていた。皇甫嵩はその風を利用した火計を実行。突然の事に波才軍は混乱。更に、救援に来た劉備や官軍の挟撃で敗走した


「急ぎ駆け付けましたが、救援は必要ありませんでしたね」


「その様な事はありません。貴殿等が来てくれたお蔭で多くの賊を殲滅できた」


救援に来たのは劉備だけではなかった。劉備とは別にもう一人、援軍に現れたのは騎都尉 曹操 孟徳である


「お二人には、追撃にも参加して頂きたいのだが」


そして勢いに乗った官軍はその後の追撃で潁川、豫州の黄巾賊を散々に打ち破った


「これから、どの様に動かれますか?」


「荊州南陽に向かおうと思う」


「広宗には行かないのですか」


「広宗の黄巾本隊を孤立させようと思う。南陽の部隊と合流されては厄介な事になるでしょうから」


「では直ぐにでも向かいましょう」


「私は一度、洛陽に戻ります」


「そうですか。お気を付けて、曹操殿」


「劉備殿こそ気を付けられよ」


南陽へ向かう道中


「曹操殿には初めてお逢いしましたが、あの御仁 底が見えません」


「それに、やはり、人の下に就く様には見えないな」








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