第3話 官軍の動き

劉備が洛陽の町中を歩いていると大きな宮殿が現われる。帝が住む家である。劉備は平然とした顔で中に入っていく。


「おかえりなさいませ。劉備様」


「関羽殿 武器は此方に」


「異常はないか?」


「勿論でございます」


門番に軽い挨拶を済ませ奥に進む。そこには、玉座に座る帝の他に数人の将軍の姿が 何進、皇甫嵩、盧植、朱儁である。


「何進を大将軍とする。洛陽の守りは其方に任せる」


「畏まりました。必ずやこの洛陽を守り抜きましょう」


「皇甫嵩、盧植、朱儁を中郎将とする。各地の賊軍を殲滅せよ」


「良かった、どうやら間に合った様だ」


「誰だ!」


現われた玄徳に帝の直ぐ近くにいた 取り巻き 十常侍の一人が怒鳴る


「玄徳 どうかしたのですか?」


もう一人劉備に話掛けた者がいた。帝の母 董太后 劉備の事を気に入っている者の一人である。


「大事な会議に水を指す様な真似をしてしまい申し訳ありません。ですが、恩師が戦場に赴かれるのを黙って見過ごす事は出来ませんので」


「そう云えば、お前は昔 盧植に師事していましたね。会議は終わりましたから、少しですが、盧植殿と話す時間はあるでしょう」


「有難う御座います」


洛陽 城門前


「それにしても、久しいな 玄徳」


「はい。先生が来られると聞いて驚きました」


「今の状況を黙って見過ごせん。私でも力になればと思ってな」


「先生なら大丈夫でしょう。ですが心配なのは洛陽です。あんな元肉屋の男が大将軍として洛陽を守護などできましょうか?」


「余り、何進殿を悪く言うな。不安なら我等が一刻でも早く賊軍を討てばよいことだ」


「そうですね」


「処で玄徳 お前が只、私の見送りに来ただけではないのだろう?」



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る