第4話:宿敵の名はレディ・パン!
『それでは
『はい。イカスミを取り出すときには墨袋を破らないように丁寧に。そして、イカスミを墨袋から取り出す時に、指につかないように気をつけて絞り出しましょう。難しかったら、墨袋ごとフライパンにいれちゃっても大丈夫ですよ』
梅雨も開けた爽やかな土曜日の昼下がり。
「今夜はイカスミパスタでも作ってみようかしらね」
「えー、なんか真っ黒であんまり美味しくなさそうだよ」
お母さんの言葉に、
「昔食べたことあるけど、見た目のわりに美味しいんだから大丈夫よ。右膳もそれでいい?」
「うん。いいよ」
「それじゃあ買い物に行ってくるわね」
お母さんは買い物に出かけていった。
『それではまた来週』
『はい。また来週』
司会と渡鍋が、画面の中で笑顔で手を振って、番組は終了した。
――――――――――
「はい!オッケーでーす!」
生放送が終わったスタジオでは、スタッフたちの声が響く。
「いやあ、渡鍋先生、今回もお疲れ様でした」
「ありがとうございます」
渡鍋はディレクターに丁寧にお辞儀をする。渡鍋はお嬢様学校を卒業後、大学を出てから、若くして料理研究家として名を馳せていた。そのおっとりとした見た目や立ち振舞とは裏腹に、料理の手際は素早く、そして無駄がない。
「そろそろ撮影にもなれてきたところじゃないですか」
「いえ、私などまだまだですわ」
このテレビ番組には今年からのデビューだが、すでに老若男女から人気を得ている。とくに、家庭でも作れる料理のレパートリーが増えるとして、主婦や一人暮らしのサラリーマンには人気が高い。
「では、私はこれで失礼させていただきます」
「はい。次もまた来週に、よろしくお願いします」
ディレクターを挨拶を交わし、渡鍋は帰路についた。
――――――――――
「ただいま~!」
ワンルームのアパートに帰ってくる渡鍋。彼女は一人暮らしだ。だが、今は帰りを待つものがいる。
「おお!待っていたのでワル!」
出迎えるのはプリケッツに似たマスコット。だが、色合いは黒を基調としたもので、目つきも鋭い。
「どっはー!疲れたーっ!」
ベッドにボフッと飛び込み、ワルノワールを両手でムニムニする渡鍋。
「ワルノワールちゃーん。疲れたよー」
外ではおしとやかな渡鍋も、その実それは表の姿。プライベートはだらだらタイムなのだ。
「ええい!オレ様をムニムニするのを止めるでワール!」
そう言いながらもワルノワールはまんざらではない。
「ええー?いいじゃなーい。むにむにー」
「うーむ……まあ、その、なんでワル。今日は大事な話があるでワル」
「大事な話って?」
いつになく真剣なワルノワールの表情に、ムニムニをやめる渡鍋。
「オレ様がキサマに助けられてからもう数カ月でワール……」
渡鍋とワルノワールの出会いは数ヶ月前。セイントヒップ誕生よりも申し前だ。可愛いものに目がない渡鍋は、道端でボロボロになっていたワルノワールを見つけて拾い、その正体を知らぬまま介抱したのだ。
「キサマには世話になっているでワールが、それはそれとして、大悪霊復活の期限までかなり余裕がなくなってしまったでワール」
邪神復活!これこそがワルノワールの狙いなのだ!
ワルノワールは飛び上がり、窓から遠くを見て話を続ける。
「この地に眠る大悪霊は、混沌よって目醒めるでワール!そのためにキサマの力を借りてモンスターを生み出しているでワールが……」
「セイントヒップ!そしてセイントリング!あの二人が邪魔してくるせいで、いつも惜しいところでモンスターがやられてしまうワル!」
ワルノワールは渡鍋の方を振り返る。
「うーん、確かに私の料理がすぐにやられちゃうのは残念だけどさー……そもそも大悪霊復活ってヤバイんじゃあないの?」
「復活しないほうがヤバイのでワル。大悪霊が復活しないと、溜め込まれた邪悪なエネルギーが爆発して大変なことになるでワル。オレ様は大悪霊を復活させ、封印して持ち帰り……あ、いや!とにかく封印することが目的なのでワル」
「ふーん……」
「プリケッツたちはそのことを知らないからオレ様たちの邪魔をしてくるでワル」
「だからこそ!ここいらで本腰を入れるでワル!オレ様のパワーも十分に回復したでワル。今なら、キサマにパワーを授けられるでワル」
「えー……それってつまり、私もあの二人みたいな恥ずかしいカッコで戦えってこと?」
渡鍋は口を波の形にしながら講義する。
「そこは安心して欲しいでワル。オレ様はプリケッツよりもよっぽどセンスがいいワル!」
「うーん、ワルノワールちゃんがそう言うならいいけど……」
「そうと決まれば話は早いワル!さっそく準備に取り掛かるでワル!」
――――――――――
時間は少し経過し、割下のお母さんが買い物を終え、ちょうど帰ったころ。渡鍋は商店街を見下ろす屋根の上にいた。手には悪霊の宿った邪悪な割り箸がある。
「これまでは割り箸を誰かに割らせていたワルが、今回はキサマが割るワル」
「大丈夫なの?」
「大丈夫だワル!キサマにはオレ様の魔力が与えられているワル。安心して割り箸を割るワル!」
「……じゃあ、割っちゃうよ?」
パキン。
――――――――――
その頃、割下家では!
「プリプリ!悪霊の気配を感じるプリ!」
プリケッツが悪霊の気配を感知!
「大変だ!」
割下の部屋からピンクの光が漏れ出し、窓を開けて飛び出してきたのはセイントヒップだ!
「よし、行くぞ!」
そのまま二階の部屋を飛び出し、商店街に向かって一直線!
----------
同時刻、
「出やがったな!」
箸入れから割り箸を取り出して割る!佐々木の部屋からイエローの光が漏れ出し、窓を開けて飛び出してきたのはセイントリングだ!
「よし、行くぞ!」
そのまま二階の部屋を飛び出し、商店街に向かって一直線!
――――――――――
「イカーッ!」
セイントヒップとセイントリングが商店街に駆けつけた時、すでに巨大な焼きイカモンスターは大暴れしていた!
「よし!いくぞヒップ!」
サイバーカウガール魔法少女服のセイントリングが両手に輪ゴム銃で狙いをつける!
「うん!」
ふんどしスパッツ魔法少女服のセイントヒップも、割り箸型魔法少女ステッキを構える!
「イカーッ!」
焼きイカモンスターの触腕が大ぶりに叩きつけられる!
「えーい!」
セイントヒップはこれを華麗に側転で回避!そのまま後ろに回り込む!
「割り箸はどこ?」
セイントヒップは割り箸を探す。割り箸をケツで折れば、悪霊は成仏してモンスターをやっつけられる。まずは割り箸を探さなければならない。
「イカーッ!」
焼きイカモンスターの触腕は2本!もう1本がセイントヒップに襲いかかる!
「させるか!」
セイントリングは輪ゴム銃で触腕を攻撃!弾き返された触腕がうねり、焼きイカモンスターが怯む!
「イカッ!?」
セイントリングの放つ輪ゴムは天使の金の輪であり、悪霊に対して強いパワーを発揮するのだ!
「早く割り箸を探すんだ!弾切れになっちまう前に!」
セイントリングは魔法少女服の魔力を輪ゴムに変えて撃ち出している。輪ゴムを撃ち続ければ半袖はやがてノースリーブになる。そしてハーフパンツはショートパンツになり、最終的にはケツ丸出しなのだ!
「……あった!」
ステッキで触腕と激しい打ち合いをしながらヒップが叫ぶ!
「割り箸はクチバシの中だ!」
イカにはクチバシがあることをご存知だろうか。文字通り、鳥のクチバシのようなものが、イカの口には付いているのだ。
「クチバシの中って、どうすりゃいいんだ!?」
戸惑うリング!
「イカーッ!」
焼きイカモンスターがクチバシを大きく開いて叫ぶ!タイミングを間違えばクチバシに噛みつかれてしまうだろう。
「ど、どうしよう……」
ヒップが一時撤退し、リングの元に帰った、その時だ!
「オーッホッホッホ!」
二人の頭上から謎の女の声!
「誰だ!」
リングが声のする方を見る。そこにいたのは、ダークセクシーエプロン魔女服に身を包んだ一人のレディだ!
と、ここで時間は少し遡る。
――――――――――
時間は少し遡り、割下のお母さんが買い物を終え、ちょうど帰ったころ。渡鍋は商店街を見下ろす屋根の上にいた。手には悪霊の宿った邪悪な割り箸がある。
「これまでは割り箸を誰かに割らせていたワルが、今回はキサマが割るワル」
「大丈夫なの?」
「大丈夫だワル!キサマにはオレ様の魔力が与えられているワル。安心して割り箸を割るワル!」
「……じゃあ、割っちゃうよ?」
パキン。
その時だ!
『パパラパ~チャララパパラパ~♪パッパラ~パパラパッパッパラ~♪』
謎のBGMが鳴り響く!
「え?」
渡鍋の体が宙に浮き、光に包まれる。これは……変身バンクだ!
全身が光のシルエットになり、ローファーががはじけ飛ぶ!そして代わりに装着されるのは黒いロングブーツ!
次はスカートとTシャツがはじけ飛び、全身にフィットするぴっちりスーツ、そしてエプロンが装着される!
腰には無数の調理器具がセットされたベルトが、アップスタイルだった髪の毛は解かれ風にたなびく。
そして最後に、顔にマスカレイドマスクが装着される!
『パパラパ~パパパッ♪パッパン♪』
BGM終了!
変身完了!ダークセクシーエプロン魔女服に身を包んだ!
「キャー!!なにこれー!?」
「オレ様のファッションセンスはどうだワル!最高でワール!」
「これのどこが最高なのよー!!」
渡鍋は赤面し、ワルノワールのほっぺたを全力でびよーんと引っ張る。
「ワワワワワ……ひゃ、ひゃめる(やめる)でワール!」
ワルノワールが暴れるレディ・パンの両手から逃れると、パツンッと顔がもとに戻る。
「いいワルか?キサマは普段絶対にこういうカッコをしないワル。つまり、このカッコなら、正体がバレる心配がないってことだワル」
「そ、それはたしかにそうだけど……」
「どうせなら楽しむワル!今のキサマは、オレ様から魔力を得てレディ・パンとなったのでワル。普段の鬱憤を晴らすいい機会だと思うワル!」
「レディ・パン……鍋淑女?」
パンとは英語で鍋のことだ。
「料理が得意なキサマにふさわしい名だワル。さあ、ゆくのだレディ・パン!セイントヒップとセイントリングを料理してやるワル!」
「そうね。ふふ……いえ、私はレディ・パン!料理の真髄を見せてあげるわ!オーッホッホッホ!」
渡鍋は元からずっと猫をかぶって生きてきた。演技は大得意だ。今このとき、渡鍋はレディ・パンとなったのだ!
――――――――――
そして時は戻る!
「オーッホッホッホ!」
二人の頭上から謎の女の声!
「誰だ!」
リングが声のする方を見る。そこにいたのは、ダークセクシーエプロン魔女服に身を包んだ一人のレディだ!
「私はレディ・パン。よくも私の料理をこれまで何度も倒してくれたわね」
「それじゃあ、お前が……」
ヒップが問う。
「そうよ!私が手塩にかけて作った料理よ。お味はどうかしら?」
「っへ!味も何も食えたもんじゃないぜ!」
リングが輪ゴムを発射!だが、レディ・パンはこれをひらりと回避し、焼きイカモンスターの横に着地!
「さあて、どう料理してあげましょうか……」
レディ・パンは腰からフライ返しを取り出す。すると、なんということか。そのフライ返しは巨大化し、まるで手持ち看板のような武器となったのだ!
「それじゃあ、行くわよ」
レディ・パンが舌なめずりをして走り出す!
「リング!」
「ああ!」
ヒップとリングもお互いの顔を見て頷き、迎え撃つ!
「イカーッ!」
焼きイカモンスターがクチバシを大きく開き、イカスミを射出!
「たあ!」
ヒップがステッキを回転させてイカスミを弾き飛ばす!そのスキにレディ・パンのフライ返しがヒップの頭上から襲いかかる!
「ヒップ!避けろ!」
リングが輪ゴムを連続発射!巨大フライ返しの勢いを削ぐ!
「やあ!」
その僅かなスキにヒップは横に飛び回避!フライ返しが地面に叩きつけられる!
「なかなかやるじゃないかしら?」
レディ・パンは巨大フライ返しを演舞のように振り回す。
(ヒップ、俺に考えがある。ほんの少しでいい。時間を稼げないか?)
リングが小声で提案。
(うん、分かった!)
短い作戦会議を終えたヒップは、ステッキを構えなおしてレディ・パンを睨む。
「よーし!かかって来い!」
「フフッ……元気な子は嫌いじゃないわ。それじゃあ遠慮なく、行かせていただくわ!」
レディ・パンがヒップに襲いかかる!
「たあ!」
ヒップは振り下ろされるフライ返しをサイドステップで回避!
「甘いわよ!」
続きざまに繰り出される横振りのフライ返しをジャンプで回避!
「甘いのはどっちかな?」
ヒップの挑発。だが!
「イカーッ!」
焼きイカが再びのイカスミ射出!空中で身動きが取れないヒップはそのまま弾き飛ばされる!
「きゃあ!」
「オホホホホ!甘いのはそちらのようね!」
「ぐ、ぐぅ……」
もはやぐうの音しかでないヒップ。
「さあ、それじゃあまずはあなたからトドメを刺してあげましょう……やっておしまい!」
「イカー……」
イカ焼きモンスターがクチバシを開き、強力なイカスミを吐き出そうとした、その時だ!
「うおおおおお!!」
飛び出したのはセイントリング!しかも、その速さは弾丸のようだ!
「この時を待ってたぜぇ!」
リングは巨大な輪ゴムを作り出し、その反動で大きく飛び出したのだ!その証拠に、もはやパンツはホットパンツの短さに!
「しまっ……!」
レディ・パンが気付くもすでに時遅し。リングはクチバシに手を突っ込み、割り箸を引っこ抜き、上空に投げた!
「ヒップ!」
「えーい!」
ヒップは大きく跳躍!割り箸を掴み、ケツ割り箸準備完了!……だが!
「イ、イカーッ!」
突如、焼きイカモンスターの中から黒い触手が飛び出した!触手、いや、イカスミパスタだ!
「イカイカー……」
焼きイカモンスターは輪切りのイカリングとなり、その隙間からおびただしい数の触手のようなイカスミパスタが躍り出て、ヒップの体に巻き付いたのだ!
「オーッホッホッホ!私の料理がただのイカ焼きだと思ったら大間違いですわ!」
イカ焼きモンスターは仮の姿、その正体はイカスミパスタモンスターだ!
身動きが取れないセイントヒップ!
「っく!で、でも割り箸を折れば……」
ケツ割り箸準備はすでに完了している。ケツに力を込めるセイントヒップ。だが。
「……あれ?折れない?なんで?」
「プ、プリー!?セイントヒップ!これじゃダメだプリ!」
ステッキは姿を変えたプリケッツが声を上げる!
「ダメってどういうこと?」
「ケツが汚れて魔力が出せないんだプリ!」
セイントヒップの下半身は、黒いスパッツの上に白いふんどしが付けられている。これでもって割り箸を折るのだが……先程のイカスミで真っ黒に汚れてしまっていたのだ!
「聖なるケツは清潔じゃないと行けないプリ!今のケツじゃあ割り箸を折れないプリ!」
「そんな……」
「あーら。イイコトを聞いちゃったわ」
身動きできないヒップに近づくのはレディ・パン。
「せっかくだから、少しオシオキしてあげましょうか」
「お、オシオキって……」
レディ・パンがヒップの背後に回ると、ヒップのケツだけがイカスミパスタ触手から解放される。
「悪い子には、こうよ!」
スパーン!
「きゃあ!」
軽快な音と共に、ヒップのケツに巨大フライ返しが叩きつけられる。
「フフフ。手加減はしてあげるわよ……」
スパーン!
「やぁん!」
再びの巨大フライ返しケツ叩き!フライ返しにヒップのケツ拓が!
「もう一人の子は逃げちゃったみたいね?」
「え、リングが……?」
ヒップが見渡すと、たしかにリングはいない。
「あなたも、私たちに抵抗しないように、たっぷりとオシオキしてあげるわ!」
スパーン!
「きゃあ!」
スパーン!
「きゃあん!」
スパーン!
「きゃああああ!」
もはやヒップのケツは魔力で守られているにもかかわらずヒリヒリと痛み、ヒップは涙目だ。
「ぐすん……」
「あらあら?そんなにオシオキが効いたのかしら?」
レディ・パンがケツ叩きをやめて、ヒップの正面に回り込む。
「これ以上、私達の邪魔をしないっていうのなら、もう終わりにしてあげてもいいわよ?どう?」
ヒップの顎をくいっと上げて、顔を近づけて降伏を求めるレディ・パン。だが、ヒップは屈しない!
「僕たちは、負けない!」
その目は覚悟に満ちていた。
「あら、それじゃあ……」
レディ・パンがオシオキを再開しようとしたその時だ!
「ヒップ!」
現れたのはセイントリング!その手には放水ホース!リングは逃げたわけではなかったのだ!
「なに!?」
「折れーッ!」
レディ・パンが驚くが時すでに遅し!リングがヒップのケツに勢い良く放水!イカスミが洗い流され、白いふんどしと割り箸が聖なる十字を表した!……そして!
「えいっ!」
バキィ!
割り箸が割れた!
「イ、イ、イ……」
イカスミパスタモンスターが中から光りだす!そして!
「イカーーーーーーーーー!!!!」
イカスミパスタモンスターは爆発!キラキラした光の粒子となって空へと登っていった。
暴れた跡も、キラキラした光の粒子で元通りになった。
イカスミパスタ拘束も解除され、ヒップも自由の身だ。
「さあ、どうするの?」
「ぐぬぬ……オ、オーッホッホッホ!今回はここまでにしてあげますわ!それではごきげんよう!」
レディ・パンが突然白い煙に包まれる!小麦粉だ!
「ゴホッ!ゴホッ!」
ヒップが咳き込む!煙が晴れた時には、もうレディ・パンは逃走していた。
「おい、ヒップ。ケツは大丈夫か?」
「うん。ちょっとヒリヒリするけど……大丈夫だよ」
「よし、それじゃあ変身が解ける前に隠れようぜ」
「そうだね。えーい!」
ヒップとリングは大きく跳躍して建物の上へ!そのままさらに遠くへと跳んでいく。
――――――――――
「むーん、また負けてしまったワル……」
渡鍋のワンルームマンションでは反省会が始まっていた。
「それにしてもワルノワールちゃーん。あのカッコはなんなのよ?」
「そんなこと言って、ノリノリだったワル」
「だ、だって!そうしないとバレそうで怖かったし……」
渡鍋は思い出して顔を赤くする。
「いやあ、なかなか様になってたワル」
「んもー!いじわる!」
渡鍋がワルノワールの顔をむにむにする。
「とはいえ、今回はキサマの油断も原因ワル。オシオキだとかなんとかいってケツを叩きおっている間に、とっととセイントヒップの変身を解除するべきだったのでワール」
「え?そんなことできるの?」
「……」
ワルノワールは沈黙する。
「……それがわかっていれば苦労はしないでワール」
「んもう!知らないんじゃない!」
渡鍋がワルノワールの顔をびよーんと引っ張る。
「そ、それはこれから調べるワルーッ!」
――――――――――
ついに現れた宿敵レディ・パン!負けるなヒップ&リング!新たな敵に立ち向かえ!
ケツ割り箸魔法少女装少年セイントヒップ
第4話:宿敵の名はレディ・パン!
おわり
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