第18話 決着『〇〇〇〇ます』
「ラザニナ!」
僕は都心に揉まれるラザニナへ向かって叫んだ。
――マスターっ? 急に何を!
すると。
『ぐぅっ! 逃げてばかりの臆病者めっ! 殺すっ! 喰い殺してやるうッ!』
ラザニナが
ラザニナは
ラザニナの両腕が自由に
――マスター! ラザニナ、都心部より抜け出します! 退避を!
「まだ、もう少し!」
僕は黙々と、アルコール臭を漂わせながら体に藻を生やし、蛭を踏みつけ両爪をカチ合わせてゴツゴツと鳴らし迫るラザニナを、ただひたすら描写し続けた。
だが、ラザニナはもう目前!
――逃げてマスター! 死んじゃいますっ!
ラザニナが吠えた。
ラザニナが大口を開ける!
今まさに、ラザニナは僕を喰らおうとしていた!
『ぐおおぁっ!』
――ますたあああっぁ!
内と外。
セリとラザニアの声がこだました、その時!
ごとん、と。
――へ?
僕の目の前に、バスタブみたいな大皿に入ったパスタ料理が現れた。
――これは、一体?
「……ラザニア」
僕は答え、
そして、にたりと悪い笑みを浮かべた。
――マスター? まさか……食べる気ですか?
「うん。何もせずに元に戻ったら、どうなるかわかんないもんね。無抵抗の内に片付けよう」
――え? ええ?
困惑するセリをよそに、僕は両手を合わせる。
さあ、急ごう。
だってこれ、いつ元に戻るかわかんないのだから。
「いただきます」
一口ラザニアを食す。
原材料に不安はあったが、中々美味だった。
――あの、マスター?
『ナニモイウナ。コレ、ラザニア。メガミ、チガウ』
――……マスターがそれでいいなら構いませんが。あの、食べきれますか?
「む?」
セリの指摘はもっともだった。
バスタブ一杯のラザニアなどとても食べきれない。
しかし、このまま元に戻ればまたあの巨大な竜になるだろう……。
「あ、そっか!」
――マスター?
次の瞬間、僕は。
「もったいなああああいぃっ!」
と、絶叫しながらラザニナの入った大皿をひっくり返した。
――あっ!
直後、大皿は中身のラザニアをぶちまけた後、ラザニナとして竜の姿に戻る。
ただし。
「ううぅ……きさま、いったいなにをしたっ……あ、あれ?」
その大きさは中型犬くらいにまで縮んでいた。
きっと、ラザニアだった時に中身の大半をぶちまけたせいだろう。
それから僕は。
「ひぃっ」
威勢よく啖呵を切ったラザニナの前に仁王立ちした。
「セリ」
――……はい。
「この大きさだったらさ」
――はい。
「素殴りで十分だよね?」
僕はアレを構えた。
――ドラゴンキラーソード、ですね。
そう。
そして、僕は。
「ま、まて! はなせばわかりゅぐ――」
駄女神に、容赦なく攻撃した。
――堕女神ですよ、マスター。
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