第11話 竜殺しの剣『ドラゴンキラーソード』

 冒険の末、神になったライゾウさんは親切な人だった。


 ――私達が目指すダンジョンに適切な装備を選んでくださいましたね。


 僕は今、ライゾウさんが見繕ってくれた装備に身を包み、テンションが上がっている。


 ようやく遊者らしく

 ――勇者です、マスター。

 そう、勇者らしくなってきた。


 特にこのドラゴンキラーソーダなんか

 ――ドラゴンキラーソー『ド』です! マスター!

 間髪入れず、セリの誤字修正が発動した。


「あ、ありがとセリ。もう少しでマスタードの二の舞だった」

 ――危機一髪でしたね。もう軍資金も新しい武器を買う程の余裕はありませんし。


「だな。これからは気を付けないと」

 ――あ! マスター、私に再発防止のための策があります。


さく?」

 ――『策』です。以降は装備品を「あれ」とか「これ」と呼称するのです。間違いようのない、あるいは間違えても痛手にならない呼び方に。


「……仕方ないか」

 その後、僕はアレを装備した。

 ――ドラゴンキラーソードですね。


 あまり気分が高揚しない。

 ――仕方ありませんよ、マスター。ここは『武器ぶき大事だいじに』で行きましょう。



 そして、僕達はダンジョン『竜の巣窟』を目指していく。

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