第11話

実は、今年4月の14日に特養にいた母が急死しました。ちょうど150年前の高杉晋作の

命日と一緒となります。

祖母同様、母も晩年には認知症があり、また出歩いた先で転倒して大腿骨を骨折し

入院後、自宅介護をしてその後特養へ入りました。それはもう想像を絶する経験でしたが、何とか自分一人で頑張りました。

特効薬のお蔭なのかだんだん認知の状態も改善をして来ていて、亡くなる当日には

ちょうど代金の支払いで私が施設を訪れた折に見舞うと「また今日来るよね。また後から来てよね」となぜだか頻りに問いかけるので空返事をしましたが、そのすぐ

後、併設の病院からの緊急連絡で、もうだめだと思いますが…との急変の知らせを

受けて、慌てて駆けつけました。そう言えば、普段乗っている自転車の鍵に付けて

いたキーホルダーが数日前から急に外れる様になって気にはなっていました。それまでには一度も外れる様なことは無かったんですが、ちょっと走ればチャリンと…

直して走ればまたチャリンとをしつこく三度まで繰り替し外れてしまい、ほとほと

困惑し切っていました。後で人にも見てもらいましたが、どうやっても外れる様な

もんじゃないよね…と不思議がっていました。母が亡くなると二度と外れることもありませんでしたが、気持ち悪いのでもっとガチなタイプの物に付け替えました。

まだ、自宅で介護をしていた頃こんな状態なんで、もう買い物へ出かけても成るべく早く帰宅しないと本人が出てっちゃうんで、ダッシュして行ってダッシュして帰らなくてはならず、近所のスーパーから泡を食って自転車で帰宅途中、家の鍵をズボンの浅いポケットに挟んでいたので、ああ、落とすかもな…とは気にしながらも

とにかく急いで自宅への大通りを渡った途端、足元でチャリン!という音がしました。やっぱり落っことしたなと思って路上を見たんですが何も無く、ポケットにはきちんと鍵もあって首を捻っていた瞬間、すぐそばを大型ダンプカーが轟音と共に

通り過ぎました。そのまま止まることなく走行してたらかなりインラインで、巻き込まれた可能性がありました。それでも、音がした現場が気になって後からもう一度そこへ行き、路上を舐める様にチェックしてみましたが、やはり何も金属的な物は一切無く、一体あれは何の音だったのだろう?と今もって不明です。まあ、お蔭で助かって本当に感謝していますが。

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