5ー4
ルニアは目の前で起こっている出来事に、未だ思考が追いついていなかった。
ルニアの前で、ご主人様はあろうことか
だが相手は、カラスだ。どこにでもいるカラスでしかない。
ルニアにはそれ以上でもそれ以下にも見えなかった。
「さっきから不躾な視線を投げかけてくる、この無礼な小娘はなんだね」
ルニアは自分に向けられた一瞬の殺意に、背筋が凍りついた。
カラスの後ろから迫り来る深く黒いオーラに
「その子女は私の助手です。名をルニアと申します」
「ルニア? ルニアか……。ふむ、お主の妹御と同じ名だな」
知っていることだが、改めて指摘されるとルニアの心はざわついた。
だが目の前の不遜な態度を崩さないカラスは、ルニアの親指に嵌められた指輪を目ざとく見つけ、
「ふっ……。不肖の弟子も、自身が信ずる相手を見付けたということか。小娘よ、その証、失くすでないぞ」
と、どこか弟子の成長を垣間見たように、嬉しそうな声音でルニアに語りかけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます