3-6

 凄惨な現場に人集ひとだかりができている。

 衛兵が部屋の周囲を取り囲んでいるが、壊れた扉の奥へと衆人の視線は集まっていた。

 

 遺体は既にから降ろされて、検分に入っている。

 顔に大きく穿った傷。

 鋭利な刃物で貫かれたように、遺体の顔を判別できないまでに潰していた。

 血だまりの中に浮かぶ銀髪は、赤黒くまみれ薄汚れていた。


 男は人集ひとだかりの後方から見つめていた。

 傍らには少年にしか見えないルニアが固唾を飲んでいる。


 どうやってソレだけの物量のものを固定したのかも分からない。

 だがソレは、そこに当たり前のように存在を主張し続けていた。


「ご主人様……アレは」

「ペンデュラムだよ」


 ルニアの問いに短く男は答える。

 男は顎に手を添えて、思考する。

 どうやら、がこの街にいるようだ。

 刹那、視線を感じて振り向いた。だが視線の矛先に人影はいない。

 だが確かに見られていた。

 男は傍らに立つルニアを抱き寄せる。

 男の行動に内心、焦るルニアはちいさな悲鳴を漏らした。


 ーーアイツと相対する日は近いのかもしれない。

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