3-五

 朝焼けに囀る鳥が窓辺にくる。

 鳥にパンくずをやると摘んでは飛び去っていく。


 ベッドを見やると、サラサラの銀髪が頬に掛かっている。

 それを恭しい手つきで取り払うと、

 少女は身じろぎして目を覚ました。

 覚ましてすぐ、自分の置かれた状況を理解したのだろう。

 毛布を引き寄せはだけた前を隠した。


あるじ様、昨日は沢山の愛をありがとうございました」


 頬を上気させて、夜更けに繰り返された情事を思い出したのか、少女は潤んだ瞳をしている。


 私は衣服を整えて出掛ける準備をする。

 そして思い出したように少女に詰め寄って口唇を重ねた。

 食べてしまいたい。とでも言うのか。貪るように重ねながら、少女の首を締めていく。


 酸欠状態になり手足をバタつかせるも、手は緩めない。

 あと一歩、

 と言うところで解放した。

 咳き込み、むせぶ少女。一気に肺に空気を送り込む。


「その痛みこそ、私からの愛」


 そう少女に告げて、私は部屋から出て行った。

 もうその部屋には戻らない。

 私は振り返ることなく、その場を立ち去った。

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