3-4
「こちらに来なさい」
男はベッドの横を指し示した。
ルニアはゆっくりと立ち上がり男の横に腰を下ろした。
男はルニアに向き直り、
「私は、世間の男とは違う。肉体へ訴えかけられる快は、痛みの中にある。だから、肉体に施されても快を得ることはできない」
男は、内ポケットからひとつの指輪を取り出した。
それを、慈愛に満ちた表情で、ルニアの親指に嵌めた。
「これは……?」
ルニアは嵌められた指輪を見る。
指輪といっても、二つの湾曲した金属片が
「これはね。私が父君に習い、初めて作ったものだ。出来が悪いだろう。ところどころ
懐かしむように話ながら、ルニアの手を掴み指輪の
徐々にあった隙間は埋められて行き、ルニアの白魚のような肌に食い込んでいく。
苦悶に唇を噛むルニア。
それを見た男は少し
「その痛みこそ、私の愛だ。私が分からなくなったら締めるといい」
「ご主人様、お父様との思い出の品を私めに?」
男は首肯して、ルニアの頬に伝った涙の跡を拭った。
そして愛娘にするように、ルニアの頭を優しく撫でてやった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます