2-2

 婉然えんぜんとした微笑みを浮かべる女と目が合った。

 こんな朝っぱらから、客を求めて街頭に立っているようだ。

 仕事熱心と取るべきか。

 好色と取るべきか。

 考えあぐねていると、客と思ったのか女が近付いてきた。


「あら、コブ付きのお客さんなんて珍しいことだこと。まあ、私はたんまりと弾んでくれたら、サービスするつもりだけど」

 街娼がいしょうの女がペラペラと喋り掛けてきた。

 私の不快さを敏感に察知したのか、ルニアがパフェを平らげて私と女との間に割って入る。

「あら、可愛らしいお嬢さんだこと。今は、お父様と大人の話をしてるの。子どもは子どもらしくしていることね」

 ぴしゃりと言ってのける街娼の女。

 負けじとルニアも、無い胸を精いっぱい誇張して、

「あら、お父様じゃなくて。私のご主人様なの。私は愛人なのよ」


 高らかに、誇らしげに宣言するルニア。

 目が点になる街娼の女を余所に、私は頭を抱えたくなったのは言うまでもない。

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