IOの告白と失敗

『もし、好きな人に告白するならどのようなことを言う?』なんて、お題を出されて、IOは口角を上げてニヤリとする。


これでも自分は演技力があって、体さえあれば役者になれたと自負している。

自慢の演技力を見せつけて、驚かせてやろう。

そう……思ってしまった。

「コホンっ。


私、もう人間じゃないんですよ……。

あなたとは違うんです。

体を持たない私では、子供なんて出来ませんし、様々な面で、あなたのお相手を務められないと思います。

男女のそういうのとかも私には分からなくなっちゃってますし……。」

そう言ってIOは涙を流す。

何故だ? いや、演技で泣こうとしていたのだ。泣けてることに不思議はない。でもこの涙は自然に流れてきた涙な気がする。

このモヤモヤする気持ちはなんだ。


「なのに……そういうのが無いのに! あなたと一緒に居たい! そう思っちゃったんです! 自分でもビックリですけど、そんな気持ちで容量オーバーなんですよ! 胸が苦しいんですよ、狂おしいんですよ。」

胸が苦しいのは本当だ。なぜ嘘告白で、こんな気持ちになっているんだ。


「だから、私と一緒に歩んでください。私と一緒に色んな経験をしてください。

そして、私と一緒に幸せになってください。

私じゃ……だめですか?」

……そうだ、私は恋人を欲しているんだ。

こんな自分と支え合って生きていける人が欲しかったんだ。


現状、今の私にそんな相手はいない。

私を電子データとして見る人ばかりで、私を1人の人として見てくれる人は少ない。


それに、恋人を欲するなんて最低な考えだ。

誰かを好きになって恋人になりたいと思うべきなのに。

恋に恋してるのは、相手をしっかり愛せないことにつながる。


あぁ、だめだな。

私は逃げるように、ログアウトした。

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