第4話 主人公、すごい。(再投稿添削済み)

 僕はNo.1765842受付の人に連れられて新しい場所に来た。ガラス張りの床の上に歩いているのだが、下の方に数え切れないくらい沢山の人がいる。彼らは魂が抜けたようにボーっとしている。


「…あの、彼らは何をしているんですか?」


「ああ、あれは地球人に転生する為にここで待ってるんだ。」


「死んでしまってからくじを引けなかったり、はずれだったりした人がいるっていうことですか?」


「まあそういうことだ。受付でくじが引けないと判断されたら、記憶を抜き取られてここに集められる。だから人口密度も高い。」


「忍耐力測定で不合格だった場合、僕も地球に行くことになるんですか?」


「…そうなるな。」


「その時は記憶もないんですよね。」


「もちろん消えている。忍耐力測定を途中で中断したら、そこでここらへんにいる人達みたいになるぞ。」


「…そうですか。」


「そんなこわがるな。お前なら必ず合格できる。」


「そうだといいんですけど…」


 記憶がなくなることに不安を抱えながらNo.1765842受付の人について行っていると、前の方から見知った人が歩いてくる。


「武くん、向こうの世界の魔法のことなんだけどこんなものがあるの。」


「お前、こっちに持ってくるのは違反だろ。早く戻してこい!」


「もうすでに許可は取ってあるわ。それよりあなた、武くんに敬語を使いなさいって言ったじゃない。これは上からの命令なんだからね。」


「別にいいじゃねえか。他の人間もこんな感じなんだし。」


「武くんはVIPよVIP。上の人たちが仕事をサボらなければあなたは彼を見ることすらできないのよ。」


「知るかよそんなの。なあ、敬語なんて使わないでもいいよな?」


 No.1765842受付の人の顔がじわじわと寄ってくる。その顔が満面の笑みだから怖い。


 人間は怖い顔で睨まれるより、笑った顔でじっと見つめられた方が怖い。


「おい、聞いてんのか?」


「あ、ごめんなさい。別にいいですよ僕は、敬語使わなくても。」


「まあ、本人がそういうならしょうがないけど…武くん、無理しちゃダメだからね。…あ、そうだ!これ渡さなきゃ。」


 と言ってNo.1765841お姉さんは親指くらいの大きさの石を取り出した。


「なんだそれ?」


 No.1765841お姉さんが差し出した石にNo.1765842受付の人は興味津々の様子。


「これは向こうの世界のもので、魔力を注ぎ込んである石よ。今は無理だけどあっちの世界に行ったら使えるものよ。これはかなり強い魔力が込められているから取り扱いには注意してね。」


「これはただの石に魔力を注いだものなんですか?それとも特別な鉱石をつかってるのですか?」

「地球にはない魔力でできた石よ。つまり、固体魔力っていうものよ。魔力は通常目には見えないけど固体にすると見えるようになるのよ。作れる人がもうほとんどいないし特別なものといえば特別なものね。」


「なるほど。僕にも作れるようになりますかね?」


「それはやってみないとわからないわ。天性的な特徴を条件とするから結構難しいわよ。」


 その石について話を聞いているとNo.1765842受付の人が何かをしている。


「すげーなこれ、めっちゃ硬いぞ。」


「割ろうとするんじゃな〜い!かえしなさい!それは武くんにあげるものよ!」


 No.1765841お姉さんが全力で取り返そうとしている。


「はいはい、かえしますよ〜ほれっ。」


「うおっとっと。セーフ。って投げるなよっ!」


 No.1765841お姉さんは本気で怒ってるようだがNo.1765842受付の人は適当に流している。なんかかわいそう…


 そんなことしている間についてしまったらしい。


「ふう、ついたぞ。ここが忍耐力測定をする場所だ。」


「わたしはまだ許してないんだからね!」


 そこには広い空間が広がっていた。


「ひ、ひろい…ここ全体がそうなんですか?」


「ああ、実際にはその本人だけに効果をかけてその管理を向こうの方で行うだけなんだけどな。」

 向こうの方には鏡がある。マジックミラーか。


「でも今回わたしは、こっちにいるわ。本当は1人でやるものなのだけれども私、暇なのよね。」


「というわけでもうやれる状況なんだが、やるか?」


「はい。」



『それじゃあ効果かけるぞ。』


 端のほうにあった日焼けマシンみたいなものに入って効果をつける。外とは完全にシャットアウトされているようでスピーカーからNo.1765842受付の人の声が聞こえる。


 10分後…


『もうそろそろ終わるからちょっと待ってろ。』


「はい。そういえば忍耐力測定って何時間くらいやるものなんですか?」


『う〜ん、何時間だっけ?おいNo.1765841、わかるか?』


『なんであんたは管理しなきゃいけないのにわかってないのよ!6時間でしょ、6時間。』


『っていうわけで、6時間頑張ってな。』


『あなたも監視してなきゃ行けないんだから覚えてなきゃ大変でしょ。しっかり覚えておきなさいよね。全く。』


 僕の代わりにNo.1765841お姉さんがつっこむ。なんだか僕がハブられているようだ。


『ごめんね武くん。もう出ていいよ。』


「…いいんですか。それじゃあ、開けますね。」


「それじゃあ、これから6時間頑張ってくれよな。」


「じゃあ武くん、こっちよ。」


「はい。」


 広い部屋の中央に椅子が2つと丸いテーブルがある。


「やることないしトランプでもやる?」


「いいですよ暇ですし。」


「ルールは何?ブラックジャックでいい?」


「僕の1番得意なゲームですね。」


 とまあ、30分くらい遊んでいると気持ち悪くなって来た。感覚的には軽い熱程度だ。


「ちょっと気持ち悪くなって来ました…」


 ブラックジャック、13対12という熱戦のなかじわじわと頭が働かなくなってきている。


「そう…助けたいけど私にできることはないわ。6時間ずっと効果がかかったままだから。もしあれだったら少し休んでてもいいのよ?」


「ベットってありますか?」


「ここでは寝ることもできないけどいい?」


「睡眠ができないってことですか?」


「そういうこと。ここには夜も昼も寝てる暇がないからみんな寝れないようになってるの。あと、ベットは持ってくるのに10分くらいかかるけどいい?」


 10分!?今ですらつらいのにもう10分耐えるなんて…寝れもしないから実際にはあまり変わらないのだけど…


「じゃあ、お願いします…」


 10分後…


「はい、これ。ベット持って来たわよ〜。」


「あ、ありがとうございます…」


「ここでは無理しても体壊さないし、終わればさっきみたいに元気になれるから後もうちょっと頑張ってね。」


 他人事のようにNo.1765841お姉さんが言う…地味に傷つく。


 一時間後…さらに気持ち悪くなってきた。


 三時間後…頭が割れそうなくらい痛い。


「もう、無理です…」


「後、半分くらいだから頑張って!」


 四時間後…気持ち悪くないし頭も痛くない…急に何が起こったんだ?


「あの…なんか治って来たんですけど大丈夫なんですかね?」


 すぐ横でソリティアをしていたNo.1765841お姉さんに聞いてみる。


「え!?気持ち悪くないの?頭痛くないの?」


「はい、さっきよりか全然楽です。何が起きたんでしょうか?」


「私にもわからないわ。こんなこと起きたことないから…まあ、別に不正しているわけじゃないしそのままでいいんじゃないかしら?」


「そうですね…」


 そして6時間が経った。


「おーい、もう6時間経ってんぞ。」


「え、ああほんとだ見てなかったわ。」


 もうすでに2時間くらい前から気持ちの悪さや頭痛などは消えていたので僕も時間を忘れてゲームに夢中になっていた。


「ということは、僕は…」


「おう!合格だ。おめでとう!」


「おめでとう。武くん。」


「ありがとうございます。」


「それじゃあ、行きましょうか。こっちについて来て。」




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更新遅くなってすいません今回の話は変な設定をつけすぎていて、書き直すのに時間がかかってしまいました。文字数の方は500字くらい多くなってしまいましたが読めるものにはなったと思います。次回の更新は1週間後の水曜日には更新しますので宜しくお願いします。

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