第10話

随分と街をさまよったと思う。


ある日、子供と目が合った。


彼女は真っ直ぐに私を見ていた。


彼女と私の目線は、地面と平行だった。


しばらくして、彼女の親が来た。


そして、彼女の家で食事をご馳走になった。


その夜、首輪を付けられた。


寝床をもらった。


食事をもらって、彼女と1日1回街に出るのが習慣になった。


彼女とその家族との生活になれるにつれて、彼との記憶が薄れることを期待していた。


思い出すと、胸が苦しくなるから。


でも、忘れ去ることは出来なかった。


彼女は段々背が高くなっていった。


私は段々衰えていった。

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