practice 2
practice2~練習2~ 1
告白予行練習から二日後、夏樹は自室のカレンダーとにらみあっていた。
(どうしよう、やっぱり何度見ても土曜日だ……)
自分でも
だが、こうして改めてつきつけられると、意識せざるをえない。
練習とはいえ、告白してからはじめての週末なのだと。
家が
それは高校生になったいまでも変わらず、週末のどちらかを
(会いたいから会いにきちゃった、とか言えるキャラじゃないしなぁ)
ため息をひとつこぼし、夏樹は机の
「仕方ない、行きますか」
気合いを入れて向かったものの、あいにく優は外出中だった。
ほっとしたような、残念なような複雑な気持ちに、夏樹は思わず苦笑いになる。
「そっか……。なら、今日のところは帰ろうかな」
「ええー? すぐ帰ってくると思うから、ゲームして待ってようよ」
そう言って口を
夏樹の弟と同じ高校一年生だが、「妹」という存在はとにかくかわいい。
「いいよ。レベル上げ? 対戦?」
「りょーほー!」
たれ目がちな
(
見た目の
「なっちゃん、お兄ちゃんと何かあったでしょ」
勝手知ったるなんとやらで優の部屋に入っていく雛が、ふいに夏樹をふりかえった。
先導されるままだった夏樹は、不意打ちを正面から
(気のせいじゃなかったら、いま
practice2~2章~
確信に満ちた雛の瞳がまっすぐに注がれ、夏樹は
「その反応、図星って感じ?」
「や、えっと、その……」
しどろもどろになる夏樹に、雛は大人びた表情を見せる。
「ふーん? 言いたくないなら、別にいいんだけど」
あっさりと
宣言通り、雛は何も言ってこない。
無言でゲーム機をセットする姿に、夏樹はそわそわと落ち着かない気持ちになってくる。
(雛ちゃんは、心配して言ってくれてたんだよね……)
優から、何か聞いている可能性もある。
いや、幼なじみの性格からすると、告白予行練習のことはもらさないだろう。それでも、雛から「お兄ちゃんと何かあったでしょ」と言われるくらいには、優の態度もおかしかったのかもしれない。
「……あの、さ……雛ちゃん……」
「なっちゃんになら、いいよ」
「うん?」
言葉が足りていないようで、とっさに意味をつかみそこねた。
夏樹の問いかけに、リモコンを手にした雛がふりかえる。
「なっちゃんになら、お兄ちゃん
雛の瞳には、いつになく
つられて夏樹も背筋を
「譲るって、どういう意味かな……?」
「すーぐふて
「えっ……」
さすがに雛の言おうとしていることがわかり、夏樹は今度こそ顔色を失う。
(わざわざそんなこと言うってことは、私の気持ちも知られてるってことだよね!?)
思い返すまでもなく、雛に優への
それこそ本当の姉妹のように仲良くしていたが、さすがに「雛ちゃんのお兄ちゃんのことが好きなんだよね」とは言うのはためらわれたからだ。
ぼう然とする夏樹に、雛はさらに
「それとも、こゆき
「タ、タイプって……」
話の流れからして、「好みの」タイプという意味だろう。
思わぬ展開に、夏樹は金魚のように口を開閉させることしかできない。
「すっかりカッコよくなったーって、一年生の間でもウワサになってるよ。あの様子だと、そろそろ
「と、突撃!?」
「やだな、告白ってことだよ」
そう言って、雛は苦笑しながら
またしても大人びた反応が返ってきて、夏樹はいっそ感心してしまう。
「……こゆき先輩は前からカッコよかったし、すっごくやさしいのに」
ふいに、ぽつりと雛の声がこぼれた。
それは空耳かと思うほど、かすかなものだった。
聞き返そうか迷っていると、雛のほうから「なっちゃんはさ」と呼びかけられる。
「なんで優のことが好きなのバレたんだろう、って思ってるでしょ」
「ええっ!? 雛ちゃん、心が読めるの?」
たまらず
「な、なっちゃん、サイコー」
「雛ちゃーん、笑ってないで答えてよぉ」
夏樹が半泣きで
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