第4話 サブリナママのクリームチーズケーキ・アゲイン その8


 ♠



 店を出ると、とっぷりと陽が暮れていた。

 バケツサイズのプリンにカヌレ色々(コロポックル換算)

 キャベツのような大きさのシュークリームにマカロンなど焼き菓子各種(コロポックルスケール)

 バスタブのような容器に入ったゼリーに、パイ、フランetc.(コロポックルサイズ)と、大盤振る舞いだつた。

 が、サブリナママの自己紹介がおわるや、今度はライナスパパの自己紹介が始まり。

 それから延々5時間お喋りの洪水だ。

 甘いモノが沢山食べれてシェリーはご満悦だが。

 ハンゾーは、ぐったりとしていた。


 タクシーに乗ってマンションに戻ると、

「なんで呼んでくれないのよーッ!!」

 アンドレアの金切り声が、開かれたドアから飛び出して来た。

「「なんだ!?」」

 中を覗くと、アンドレアとオスカルが口喧嘩してる。

「なによ。たった、ひと言アンディって呼ぶだけじゃない!! ケチっ」

 2メートル半の巨体が、1メートル半しかないアンドレアに気圧されてる。

「いや、だから、それは。僕たちの関係を考えると……」


『アントレア焦りすぎだ』


『フランキーは、フランキーで煮えきれないし』


「なによ、バカっ!!」

「馬鹿ァ!?」

「そうよバカ、バカ、バカ!!」

「僕は馬鹿じゃないよ。こう見えても博士号を7つも持ってるんだぞ」

「オスカー。その返しは正しくない」

 ハンゾーが割って入り。

 シェリーにすがりつきながら、アントレアが言った。

「聴いてよシェリー。オスカルったらヒドいのよ」

「僕は何も酷い事なんてしてないぞ!! ただ順序がモガモガ」

 オスカルの身体によじ登ったハンゾーが、ドデカい口を両手で塞いだ。

「ほら、行くぞオスカー。飲みながら話しを聴いてやるから」

「ほら、アンディも落ち着いて。これ食べよう。これ。なんだと想う、サブリナママのバタークッキーだよ~」

「ベーっだ」

 ドアを閉める間際。

 オスカルに向けて舌を出したアントレアの後ろで、両手を合わせるシェリーの姿が見えた。

「こっちこそ、ベーっだ」

「ああ、もう……」

 ガックリと肩を落としたハンゾーが、アクビをかみ殺しながらオスカルを連れて階段を降りた。


 いつになったら眠れるのやら。



 ♠



「おい、オレらの出番は?」

「え? 1行もなし!?」

「せっかく再開したのに、ヒドいです」



 君たちは次回。



 ♠


 

 


 

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