第4話 サブリナママのクリームチーズケーキ・アゲイン その3
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「はぁ~、疲れた」
額の汗を
20キロも走ったせいで、全身びっしょりの汗だ。
その汗を流したい一心で、エレベーターの到着を待たずに、階段を駆け上る事にしたのだ。
元オーク人部隊タスクフォースのメンバーで、現在スポーツジムのインストラクターをしているだけに、抜群の体力を誇った。
「ただいま~」
速くシャワーを浴びたい。
襟元を開きながらドアを開けた。
途端。
目の前にドデカい人影を見た。
「おかえりシェリー」
オスカルだ。
そのオスカルの前に、膝立ちになったアンドレアがいた。
「おかえりなさい、シェリー」
「アンディにフランキー? フランキー学校は!?」
大学で教鞭を執っているオスカルが、平日の昼間にいるのは珍しい。
「今日は、休講だっけ?」
冷蔵庫を開いて、冷えたソーダーを取り出した。
一気に飲み干す。
「開校記念日なんだ」
「ああ、だから休みなんだ。で、アンディは?」
「今日はお店休みだから……」
〈ウソだ〉
ジトッ
と、した眼でアンドレアを見た。
振り向いたアンドレアが顔の前で両手を合わせて、ウィンクして返した。
〈ああ、もう!!〉
「で、なにやってんの?」
アンドレアがオスカルの手を取った。
「オスカルにネイルケアをして上げてたの」
フランクフルトソーセージより太いオスカルの指に生えた分厚い爪を、どうやって磨くんだろう。
〈目立てヤスリでも使うの?〉
と、口にしそうになって、慌てて言葉を飲み込んだ。
「そうなんだ」
「でも、オスカーが嫌がっちゃって」
「オスカー?」
オスカルが首を捻った。
「えっ、あっ、ごめんなさい。変に馴れなれしいわよね」
「僕は構わないよ。むしろ嬉しいかな」
「本当に。じゃあ、わたしのこともアンディって呼んでよ」
「え!?」
2メートル半の巨体がオロオロした。
「僕がアンドレアを、アンディって呼ぶの」
「そう。お互いにオスカーとアンディって呼び合うの。素敵だと思わない!?」
「思うけど」
「思うけど?」
「ハンゾーもドニもアンドレアって呼んでるのに、僕一人アンディって呼ぶのは気安すぎないかな?」
「じゃあ、じゃあ。うちのお父ちゃんみたいに、アンって呼ぶのは?」
「えっ!? それもどうかな……」
〈あ~、甘いな~。空気が砂糖
自室に戻って着替えを取ると、ドアを開いて外に出た。
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