第一章 三英雄との出会い

プロローグ

00.異世界への旅立ち

「貴方はえーっと・・・志藤しどうリュウジ君ね!」


 全てが暗黒に包まれた漆黒の空間。

 俺はパイプ椅子に座らされ、目の前にはブロンドの長髪に白いベールを纏た色白の美女がタブレットを抱えて、ウキウキと問いかけてくる。


「年齢は十六歳、性別男、背は百六十七、中肉中背、特技は特になし、勉学そこそこ、趣味は・・・アニメと小説を読むことね」

「・・・ああ」

「そして引き籠もりで、バイトもやってないニートなんでしょ?」


 美女が喜々として訪ねてくるが、もう言われ慣れていることなので動揺はしない。


「アンタは誰だ?」


 俺の問いかけに彼女は答える。


「私は女神! 世界を司る者よ!」

「ここは何処だ?」

「ここは死後と現世の狭間」


 死後だと? どういうことだ? 俺はいつ死・・・


「うっ!」






 頭の中で映像がフラッシュバックする。

 久々に家から出てアイスを買いに行った俺は、道ばたに落ちていた妙に綺麗な石が気になり、拾い上げた途端トラックにひかれ――






「なんだ・・・これは」


 いつの間にか頭を抱えていた俺は、自分の左手に違和感を覚えた。見ると、左手の甲にあの時拾った綺麗な石が埋め込まれていた。


「それは賢者の石。それは万物を司る。そして、貴方はその輝石に選ばれた者」

「何を言って・・・」

「選ばれし者、志藤リュウジ! 女神の盟約に基づき命じます!」


 女神を自称する女は、自信に満たされた強い眼差しと笑みを浮かべた。




「この世界を救ってきなさい!」




 言葉と共に視界がホワイトアウトした。

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