『シェンムーⅢ』【PS4】

 これほど『待ちに待った』という言葉がふさわしい時があるだろうか。

 物語が未完のまま、『Ⅱ』で時間が止まってしまったシェンムーシリーズ。『Ⅲ』は出るのか出ないのかと色々な情報が錯綜し、ヤキモキしまくった長い年月。

 その物語が、その旅が、18年経った今、再び動き出したのです!


 さて。このエッセイで語ったシェンムーシリーズ、いつもがっつりストーリーのネタバレを書いてきましたが、今回はストーリーのネタバレなしです。


 ……っていうか、このエッセイ久しぶり過ぎて、読んでくださる方がいるのかなぁ、と心配しておりますが。まぁなんにしろ書きたいので書きます。ツイッターでの書き込みに慣れ過ぎて、行頭字下げの癖が抜けている(笑)


 Ⅲのトレーラームービーとかを見た時、主人公のりょう莎花しぇんふぁの見た目が変わっていて、最初は「えぇ? 変わっちゃうのぉ?」ってなりましたが、プレイを始めるとそんなことはどうでもよくなりました。

 前作は香港という『街』が舞台で、今回は白鹿村はっかそんという『村』が舞台なのにもかかわらず、どっからどう見ても『シェンムー』の雰囲気満載なんですよ!


 シェンムーというゲームは、父の仇を追う旅の話でもありますが、街や生活を楽しむゲームである、というのが、特にⅢは実感できるようになっていました。


 ゲームが始まった最初、涼は莎花の家に滞在しています。

 そこで朝目覚め、莎花に見送られて外出します。今作から導入された要素『お腹がすく』という概念があり、行動していると体力が減り、走れなくなるので、食べ物を買って食べたりします。

 食べ物を買うにはもちろんお金がいるので、薪割りのバイトをしたり、魚釣りをして、釣った魚を売ってお金にしたりします。

 その合間合間に、仇の手掛かりを探すのもいいですし、ぶらぶらゲーセンに行ったり、ガチャガチャ(『Ⅲ』ではグルッパと呼ばれます)したりしてもいいのです。


 そして、夜の九時頃には莎花の家に帰ります。

 夜には莎花との何気ないおしゃべりを楽しむこともできます。

 そして、ベッドに入って、眠りにつく……。


 このサイクル。朝起きて、仕事して、食べて、遊んで、目的のことをして、本当に生活なんですよ。

 時間の概念や、寝る起きる、の概念があるオープンワールドってありますけど、シェンムーの様に規則正しく寝起きするゲームってないのではないでしょうか。

 それがまたいい意味で生活感を醸し出しているのです。


 もちろん、この『生活をする』というのは(個人的には)全くストレスになりませんでした。バイトの薪割りや釣りなど、シンプルですがなぜかクセになるミニゲームになっていますし、食べ物もいろいろな種類があって、食べ物アイテム一つ一つにちゃんとグラフィックと、ちょっとした説明がついていて、ゴハン食べてる感があって、楽しいのです。


 そして夜に莎花とできるおしゃべり。

 もちろん、したくなかったら即眠ってしまってもいいのですが、雑談には選択肢があり、その選択肢次第で莎花の好感度が上がっていき、好感度が上がると、朝、莎花が起こしに来てくれるようになるのです!

 それがねぇ、めちゃくちゃねぇ、かわいいのよぉ。


 さらに好感度が上がると、起こし方も好感度が上がった時の起こし方になってドキドキですよ。


 そして白鹿村は、自然が豊かで、BGMもゆったりで、ただ歩いているだけでも癒されます。しかしそれ以上に歩きたいと思わされる要素があります。

 生薬集めです。

 のんびりのんびり歩いていると、その辺の草むらなどに、薬の材料になる草が生えていることがあります。近くによると、赤い丸で強調されるので見落としにくくなっています。


 それをのんびりのんびり摘んで歩くのが、本当に極上の癒し!

 薬の材料になる種類がそろっていると、高価格で売ることもできるので、お金稼ぎとしても優秀。のんびり癒されてお金にもなる。これはやるしかありません(笑)


 ただ、あんまり夢中になってグルグル視点を動かしていると、酔っちゃうので注意が必要ですね。あと、摘んだらまた生えてくる、というシステムではないようです。私はお金が入らなくても延々とやっていたかったので、少し残念でしたね。

 逆に言うと、摘みつくしてしまえるということで、摘みつくしたときのトロフィーがゲットできるので、それに挑戦してみるのも楽しいかも。

 挑戦するときは画面酔いに気をつけてくださいね。


 さらに今作。武術家の生活、って感じも体験できます。

 修行をするミニゲームがいくつかあり、それは従来のゲームのレベル上げのようなものではなく、本当に修行してる感じが味わえるのです。とは言え、つらいミニゲームというわけではないので安心してください。

 そして、体力と攻撃力を上げると『クンフー』が溜まっていきます。このレベルを上げると、格が違う相手とも戦っていけるようになります。


 道場で試合をして、その強さを確かめることによって、段位が上がっていきます。それがまた修行した実感でいいんですよね。


 あと、シェンムーファン以外にはこの魅力、理解できないって方が多いようですが、今作はめっちゃ引き出しが開けられる!

 引き出しを開けて中の物を見て、涼が一言言ってくれたりします。その中の物でいろいろ想像してみるもよし、小ネタを探してみるもよしです。


 『Ⅱ』の頃からあった落とし玉などのギャンブルに加え、亀レースとかバケツに石を投げ入れて景品を狙ったりとか、いろいろギャンブルという名のミニゲームが増えてます。

 でもね……莎花と一緒に暮らしてると、そう言うお金稼ぎって良くないんじゃないかなぁ…………という妙な罪悪感が湧くところも、妙にリアルです(笑)


 と、こんな感じで、膨大な寄り道要素のある『シェンムーⅢ』。

 寄り道ばかりで仇のことなど忘れ、白鹿村ののんびりライフをずっと楽しんでいたいというプレイヤーもいるかと思います。


 しかしストーリーを進めると、次は鳥舞ちょうぶという大きな街に向かうことになります。

 そこでは莎花と二人でホテルに滞在することになります。

 ホテルなのでもちろん、滞在費がかかるので、やはりお金稼ぎに精を出さなければいけません。


 白鹿村でできたお金稼ぎはもちろんできて、それ以外でも『一章』を遊んだ方には懐かしいフォークリフトのバイトがあります。

 『一章』のフォークリフトは物語に絡んでいたこともあり、一日の内、結構長い時間仕事してなければいけなかったですが、今回はそんなに長くはなく、いつでも働くことができ、フォークリフトを操作する敷地も狭いので、気軽にバイトすることができます。

 あ、でも、『一章』での広大なマップでフォークリフトしたのが楽しかったという方は、今回の狭いエリアは物足りないかもしれません。


 そしてバイトでゲームの筐体を運ぶと、ゲーセンでいいことがあるらしいですよ。


 鳥舞にはもちろんたくさんのお店が軒を連ねています。

 鳥舞のキャンペーンでそのお店の一軒一軒に、『鳥舞ちゃん』という黄色い鳥のキャラが隠されています。難易度の高い店から簡単な店まで。

 それを意地になって探すのもまた一興です。


 あと、鳥舞に来てから、前作までのキャラに電話をかけられるようになります。

 ヒロインの原崎とジョイはもちろん、稲さん、福さん、ゴロー、トム、そしてもちろん貴章も。

 貴章ファンの私が、鳥舞に来てソッコーで貴章に電話かけたのは言うまでもありません。


 ただ、ゴロー以外の声優さんは変わっちゃってるっぽいのが残念ですね(ただ、昔の黒電話で声がこもってるので、変わってないのに変わってると勘違いしてるキャラももしかしたらいるかもしれない)。

 元の声で聞きたかったというのは、でも18年経っている作品ではさすがにワガママだと思いますが。


 声優さんと言えば、18年経った今でも、主人公の涼と、宿敵の藍帝らんていの声の方は、引き続き同じ方と言うのが本当にね。もう本当に感謝としか言いようがありません。


 待ちに待った『Ⅲ』は確実な名作だと感じましたが、従来のシリーズと比べて欠点もありました。


 それはQTEが、全部一発死だということ。


 今までの『一章』と『Ⅱ』のQTEは多少失敗しても、失敗した時用の分岐があって、それゆえに、反射神経での勝負ができるゲームになっていました。

 しかし『Ⅲ』はそう言う分岐がなく、すべて一発死で、しかも判定がシビアなので、反射神経では対応できずに、憶えゲーになってしまうことが多いのが残念でしたね。


 あと、ちょっと残念なことは、『一章』『Ⅱ』で出会ったような、強い絆で結ばれる新キャラがいなかったと感じたところですね。

 いや、新キャラ自体は魅力的なんですけど、もうちょっと絡みたかった……。


 とはいえ、まだメインストーリー以外をほとんどやり込んでないので、サブイベントでたくさん絡むことになるのかどうかは分かりませんが。


 そう。『Ⅲ』はサブイベント盛りだくさんなんですよ!

 まだやり込んでいない自分でさえ、『一章』『Ⅱ』に比べてサブイベント盛りだくさんだな! と実感できるくらいにサブイベントがあります。


 それもまた二周目の楽しみの一つですね。


 というわけで、『シェンムーⅢ』をプレイなさる方は、ぜひぜひ、メインストーリーだけでなく、寄り道も楽しんでみてください。

 前作までのあらすじも入ってるので、前作までをやってない方も、きっと楽しめるはず。


 ところで、前作までの頃と見た目がちょっと変わった涼。なんだか表情が柔らかくなり、色気が出てきているという……。

 ベッドに入る時の涼が笑えるほどに色っぽくなってます……(笑)


 というわけで今回の感想はここまでです。

 そしてちょっとだけ宣伝。

 ツイッターで『莎木if貴章香港へ』のタグで、『Ⅱ』の旅に貴章がついて来ていたら? という二次創作小説を載せています。

 ついでにpixivにも少しずつ載せていく予定。

 もしも万が一、興味が出たら、見に来てくだされば嬉しいです。


 では、次はいつにならかわからんですけど。

 またいつか。

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