上質すぎる青春小説

 本当の意味での読みやすい、流れるような文章で紡がれる描写がするすると胸に入ってきます。綿密な風景描写や身体動作の描写は、志賀直哉の『城崎にて』に代表される心境小説のようだと思いました。

 この「写生」的描写。私も挑戦したことありますが、千文字足らずで音を上げてしまいました。それをこの密度で何のひっかかりもなく、飽きさせず。凄いです。脱帽です。