魔法の才能 陣の才能
「…ここどこ?」
自分が最初に口にした言葉はそれだった
多分ここは寮内ではない ついでに学園内でもない
というかここは日本なのかもわからない…
「ようやく目覚めましたか、翔さん」
「…誰?」
声は頭の中に…いやこの白い空間に響くかのように聞こえてくる
「申し遅れました、私は… ん、いえ 私に名前というのはないですね」
声には名前というものがない? 捨てられた者? いやそれだったらこんな空間じゃなくても話せるか…?
「じゃあ 適当に呼んでもいい?」
聞こえてるのかどうかもわからないけどさっきの会話に話しかけられたなら問題ないはず…
「いいですよ? 私は概念でしかない 此方の世界の言うところの女神ですから。 名前を考えたことがないのです」
女神様だったか… しかし気になることがある
「…ヴィナス…様? 此方の世界とは… 自分が住んでいた日本ではないのですか?」
ヴィーナス(女神)→ヴィナス(縮めただけ) 安直だけど…いいのかな
「ヴィナス…それが翔さんが作った私の名前ですか… ありがたい名前です。 意味も分かりますし…っとそれと様はつけなくていいですよ? それと質問の答えですが そうですね 日本ではないです。 ただ私まだ新米の女神でして既にまあまあ完成している世界をもらってそれをうまくできたら新しい世界がもらえるんです。 そのために使者…いえ私の存在を知っていて私を認めてくれる異世界の人がほしかったんです…」
…ん? どういう事?
「えーっと つまり自分はヴィナスの世界に転生するってこと?」
「いえ 転生というよりも転移でしょうか 翔さんの持ち物で此方から持って行ってほしいものは持って行けますし翔さんが持ち込みたいものは持ち込めるか確認して持ち込んで貰います もちろん記憶とかも残ってますよ」
「使者って最初に言ったのは? それとなんで自分が選ばれたのかも聞いていいかな?」
「えーと 使者を言いなおしたのは悪い印象を持たれたくないから ですかね? 使者っていったらそれこそスパイみたいだと思うので… だからスパイとかじゃなく時々話しかけてくれたらうれしいなって思ったのです それと翔さんを選んだ理由は既に私の世界に入れるからで魔力もありますし魔力をかくこともできるみたいですし…」
魔力をかく…って もしかしてあの幾何学模様の絵のことか…?
そして昨日の島田君との話を思い出す
「凄い抽象的な感じ… まあ自分が書いてるのは完全に絵とは言えないね 風景画とかでもないし… それこそ漫画の世界の魔法陣みたいな…」
「せやな、ゲームの世界に書かれそうな魔法陣みたいなやつやわ」
フラグが立ってたことに今気づきヴィナスに更に話し掛け…
「ええ それが俗にいう魔法陣ですね… っていうか知ってて書いてたんじゃ?」
「こっちの世界には魔法なんてものはないんですよ? 魔法陣っていうのは空想の世界だったんですから」
あれを書いていなければ問題なかったのかなあ…と今になって後悔し始めた
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