第3 旅少女アードニー
彼女の名前はアードニー。齢は14。彼女は旅のお供を連れている。それの名前はヤート。
「“それ”はやめて欲しいさな」
アードニーはとっても無口な女の子。14歳で旅が出来るよう母親にしごかれ、しばかれ、張り倒された過去をもつ。故にその恐怖から自ら語ることはほぼない。いや、喋りはするのだが、その言葉がここに拾われることはない。
「ところでアードニー、次の村まで少し距離があるさな。ここいらで休憩でもしようさね」
寸胴ボディに短い手足、長い尻尾、くびれなど一切なく、どこから首でどこから顔なのかわからない。紫色のたてがみをもち、上にピンと立つ耳が特徴的。こんな容姿のヤートだが、これでも精霊といわれる部類に含まれる。
床面のないテントを張り終え、簡単な食事も終えた少女と精霊。膨れあがったお腹をさすりながら(もちろんどこからがお腹などわかるはずもない)、ヤートはコロンと寝転んだ。
「アードニー、俺っちはお先に寝るさな。いつもみたいに周りには霧を撒いといたさね。これでどんな小さなものが来ても察知できるさな。安心して休むといいさね」
言うだけいうとヤートはさっさと寝てしまう。アードニーは余力がある状態だったため、眠くなるにはもう少しかかりそうであった。テントの外へ出ようにも、ヤートの霧で視界が悪く景色を楽しむことができない。何もできず暇を持て余す他なかった。
ふとアードニーは母親を思い出す。旅の指導は厳しく、何度も泣いた。しかしその教えは的確で、何度助けられたことか。アードニーは感謝できるほど母親を許してはいないが、まあ役には立ったと思うことにした。
低身長で細身、ボサボサの髪と青く光る腕輪が目印。履き慣れた靴を脱ぎ捨て、アードニーは仮眠をとることにした。
アードニーは鳥の羽ばたきの音で目を覚ました。気づけばテントは片付けられており、ヤートの霧もしっかり晴れていた。
「ねぼすけなアードニー、近くに川があったさな。そこで顔を洗ってくるさね」
ついでに水浴びもしようかとアードニーは考えたが、足首までの深さしかない上に描写もめんどくせーので諦めた。
「自称豊満ボデーが台無しさね」
ヤートは親しみを込めてアードニーをからかったのだが、馬鹿にされたように感じたらしく、アードニーは少しだけ頰を膨らました。
そんなこんなで出発の準備も整い、また次の村へ向かうアードニー一向。
2人が出会い別れるまでの物語は、また別の機会に。
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