第26話 妹? 4
わあ!? 俺は人生初の告白……を通り越してプロポーズをされてしまった。なんてこったぁ! 自宅の玄関で俺の妹と自称する美少女に脈絡もなく求婚されるなんて、どこから悪漢が出て来てもおかしくない状況だ。
しかし彼女は真剣そのもの。冗談を言っている雰囲気ではなさそうだ。彼女の言っていることは頓珍漢もいいところだが嘘偽りを言っているようではなさそうなのでこちらも真面目に答えることにした。
「いきなりでその……なんて言っていいかわからないけど、取りあえず急にそんなこと言われても『よし、結婚しよう』とはならないよ」
彼女にそういうと「な……そんな!?」と本気で驚いている。どうやらプロポーズが上手くいくと思っていたらしい。どうしたら今の流れでそう思えるかは分からないが彼女は相当の自信家であることは分かった。
彼女の身なり、仕草には気品を感じる。さぞかし裕福な家庭で育ったのだろう。それにこの容姿、彼女のやることなすことはすべからず容認されて来たのだろう。そう思うと途端に腹立たしく思えてきた。俺はこんな見てくれだけの女に一喜一憂してしまったのか。
「それにどうして自分を”妹”と名乗っておきながら兄である俺にプロポーズするの?」
緊張のあまり一人称まで変わってしまっていた俺であったが彼女の高慢さ自分の調子を取り戻してきた。
彼女は先ほどまでの俺の態度が一変したことと予想外の問いただしに困惑しているようだが清く、俺の質問に答えてくれた。
「はい。お兄様の身辺調査を指せていただいたところ、お兄様は妹モノの性的創作物を好んで愛用されていると報告を受けていたので私の出生を存分にに活かせると思いました」
彼女はそう言って項垂れる。(身辺調査。は? 俺、監視されてたの? 怖ッ!?)
俺は身震いする体を押さえながら話が進まないのでプロポーズの件について再度尋ねる。
「取りあえず君がどうやって俺の趣味を探り出したかはこの際いいとして、なんでプロポーズなの? 初対面でおかしいでしょ?」
彼女にそう言うと改まって答える。
「はい。私が子供の頃、お母様と口論になって家を飛び出したのです。当時は頑固者でお母様から謝ってもらうまで家には帰らないと決めて日が暮れるまで公園で時間を潰していました」
なんか語りだしたな。長くなりそうか?
「その時一人寂しくしている私に優しく声をかけてくれたのがお兄様でした」
「いや知らないよ。俺、君と子供の頃会ってないよ」
俺がすかさずツッコむ。
「私がお兄様に恋をしたのは……って、ちょ、お兄様!?」
彼女は自分の話にちゃちを入れられ声を上げる。
「だって俺、覚えてないもん。それにこんな美少女と会ってたら俺忘れないし」
真顔でそう答えると「もう超絶美少女だなんてお兄様」と照れる。少し誇張が入ったがどうやら満更でもないらしい。ちょろいな。
「でっ、本当は?」
俺がそう言うと彼女は「わかりましたわ。白状します」と言って話し出す。
「本当はお母様の寝室の引き出しを開けたら、淫具と一緒にお兄様の写真があったのです」
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