第4話 危機一髪…?!
突如、体長3mくらいのドラゴンっぽい生物が現れ、俺だけでなくきっと
――しかし、その最悪の運命は1人の人物によって払われる。
「キェェェェェエ…ッ…!…」
ドラゴンっぽいやつは耳に痛いほどの悲鳴をあげた後、ドスンッ!と大きな音をたてて地面に倒れ込んだ。その背中には鋭い刃物か何かで切られたような跡があり、程なくしてそいつは息を引き取った。
まるでアニメか漫画のようなご都合展開だけども、下手すれば本当に死んでいたかもしれない状況に俺はしばし呆然としていたが――ふいにはっと我に返ると、慌てて神戸のもとへと駆け寄った。
これだけ危険な目に合えば、異世界ドリーマーなあいつもさすがに気楽な発言や行動はできないだろう。やつの身が無事だったからこそそんなことを思いながら、「大丈夫か?」と声をかけたにも関わらず――…
「…夢じゃないんだ…」
「そうだぞ、神戸! 下手したらおまえなぁ…――」
「青い髪の女の子が目の前にいるとか、これって夢じゃないんだーっ!」
「……………はぁっ?」
今いる場所がどこぞの海外じゃなくて異世界なんだと実感しての発言かと思いきや、やつの関心はドラゴンっぽいのを倒してくれた人物――青い髪をした女性に向いていた。
改めて彼女の姿を見てみると、RPGゲームなどでよく見るような革製の鎧?みたいなのを身に着け、腰には立派な剣の鞘を下げている。顔立ちは完全に外国人といった風で、その瞳は作り物感のない髪色と同じ綺麗な青色だ。
正直これはちょっと――洋画の世界に入り込んだみたいでテンション上がるかも…。
あまりの映像美に思わず心のガードが緩みそうになってしまったが、異世界ドリーマー・神戸によって即座に正気へと戻される。
「危ないところを助けてくれてありがとう! 君は命の恩人だよっ!」
ほんの数分前に後先考えない行動で死にかけたというのに、またしても危機管理能力ゼロ状態で突っ込むのかよおまえはーーーーっ!!!
いや、確かに彼女は命の恩人だし、美人だし、強いし、綺麗だし、礼をいうのは当然だし、美人だし、思わず声をかけたくなる気持ちは十分すぎるほど分からなくもないというか――綺麗だし。
でもだからっておまえ、いきなり手を握るっていうのは羨まし――…じゃない!、危険なんじゃないのか? って話なんだけどっ!
「で、君の名前はなんていうの?」
それ完全にお礼という名のナンパじゃないかよ! と思わず鋭い突っ込みを入れたくなっていると、今の今まで沈黙を続けていた彼女が初めて口を開いた。
「@#$&%$#@%¥$…」
――えっ? なになに? この期に及んで
言 葉 が 通 じ な い っ て オ チ で す か ?
途端、すっと正気に戻った俺と神戸は無言のままに後ずさり、ほぼ同じタイミングで開きっぱなしだった窓までダッシュしていた。そして窓から部屋に上がりこむと、そのままぴしゃりっ! と勢いよく閉めた。
…あぁ、仲のいい友人ってこういうときに不思議と通じ合うものなんだなぁー…なんて、そんなどうでもいいことを思いながら神戸の顔を見ると、やつも俺と同じようにただ苦笑いを浮かべているだけだった――。
【本日の戦利?品】
・壮大な世界と三途の川付近までいきかけた絶体絶命体験(プライスレス)
・適度なご都合主義展開※そこまで甘くはありません
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