12-12
カタカタ…っとATが電子キーボードを叩きながらとある作業をしているとヒロからの連絡がこちらに届く。
ATはキーボードを叩きながらそれを開き、画面角に小さく『voice only』と書かれた画面を表示させる。
『ヤッホーAT元気してる?』
「…ここは山じゃないぞ」
『おやおやこれは手厳しい』
「それで話があるなら早くしろ。私は今忙しいんだ」
『なぁんでぇ?連絡をよこせと言ったのはそっちだってのに』
「それはもう4日も前の話だ」
『はっはぁ~なぁにをおっしゃる。あなたにとって一時間も4日も大した違いはないでしょうに』
「私が数百年と生きていたみたいな事を言うな。私の年齢も見た目も年相応だ」
『分かってますっていやぁ実は4日前に顔を怪我してしまいましてね。かすり傷ですがちょぉっと恥ずかしかったんですよねぇ』
「互いの顔なんざこの通信では見えんのだがな」
『お?それは意外や意外。俺はてっきりそっちのモニターでは私の顔がアップでしかも薄暗くて目元がよく見えないどっかの黒幕的感じで映っているものかと』
「お前がいつ黒幕になったんだ?」
『はて?いつでしょう?』
「……はぁ~まぁいい。さっさと本題を話せ」
『ん~俺としてはもう少し話していたかったのですが、仕方ないですね。魚が餌に……ん~』
「ん?どうした?」
『いやぁよくよく考えたらどうせ暗号レベル高くて傍受される心配のないこの通信にどこかの誰かさんが聞いていたら先が気になるようなそんな意味深なこと言う必要あるかなぁって思いまして』
「これはお前がやろうと言い。始めたことなんだが?」
『細かいことはおいておいて』
「おい!」
『矢神と防人が接触して。会話内容からして記憶を戻されたみたいですが…』
「……構わん。その方が都合がいい」
『そうですか。まぁ私は矢神に警戒されないためにもしばらくの間、彼らに気づかれないようにしますが…何か他に問題ある?』
「最後何故のそのムカつく言い方をしたのかということ意外には特に問題はない。あぁ、あと5日後にそちらを襲撃する」
『はい?そんな予定はなかったはずですが』
「風紀委員のやつらが防人のいばしょをつかんだようだ。詳しい日時がわかれば追って連絡する」
『了解。……話は変わりますが、彼は本当に使いますかねぇ?アレを』
「そんなものはわからんよ。確率の問題だからな。まぁそれを含め、光牙を使えなくしておいたんだ。なんとかなるだろう」
『だといいんですけどね。ではではそろそろ通信を終了しまぁす』
通信を切り、ATは背もたれに体重を預け、天井を見上げる。
「あぁ……悪い悪い…あぁ分かってるよ。君たちの身体はもうじき完成する。二人とも待っていてくれ」
ATはそう言って再びキーボードを叩き始めた。
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