07-2
食事を終え、植崎とともに急いで走って教室に向かう。
「てめーこれもし、授業遅刻したらどうなるか覚えとけよ!」
こういうことに関しては姉さん厳しいんだからな。
こんなことなら先に行くって言っとけばよかった。
「くっそ、なんでこんなことになったんだぁ!?」
「それはてめーが朝っぱらからどんぶり飯を食ってその上何度もおかわりしてるからだろうが!さらに食い過ぎて腹痛めてトイレに駆け込みやがってそのせいですでにホームルームは遅刻だよ」
くっそーせっかく早起きした意味無かったよぉ!
全く、早起きは三文の徳とはなんなんだ?
「飯はそりゃうまかったからな」
「お前ね、確かに美味しかったけど腹八分までにしとけよ」
「大丈夫だ。たくさん食べても運動する」
「そうじゃなくて消化器官が追い付かなくなるまで食べて…あーもういいわ!疲れるだけ。おい!急ぐぞ」
「おう!」
僕らは息絶え絶えになりながら1限目開始のチャイムがなると同時に僕は教室の扉を開ける。
「ふぅーま、間に合っ……ったぁ!」
扉が開くと同時に飛んできた白チョークが眉間に直撃する。
「遅いぞ、ホームルーム開始5分前には席についておかないか。馬鹿者が」
僕が眉間から白い煙をあげながらぶっ倒れている間に標的が若干遅れてきた植崎に移行する。
「貴様もだ植崎今後このようなことがあればこの程度ではすまんぞ。いいな」
「コク、コク…」
植崎の素早い頷きを見た後、智得(ちえり)ね…先生は落ちたチョークを拾って教卓に戻る。
…てあれ?チョークによる制裁は僕だけですか?
というかあれ、チョークじゃなくてチョーク型のタッチペンだから。軽くても金属製だから。
「すごく…痛いです」
「何をしている?そんなところで寝ていないでさっさと席につかないか」
「……はい」
僕は赤くなったおでこを擦りながら自分の席につく。
「さて、ホームルームに遅れた奴等のことなど放っておいて授業を始める。このクラスにいる生徒は入試試験の際に上位30位に輝いた極めて優秀な生徒が集まっている。…だが浮かれるなよ、私から言わせれば貴様たちはまだまだ乗れると言うだけのひよっこだ。今から貴様たちは様々なものを学んでいくだろう。では、机上のファイル94番の①を開け」
先生の指示の後、みんな一斉に机上のファイルをひらき、各々が持ってきたカバンから電子ノートを取りだし、ペンを構える。
「皆、開いたな?すすむぞ…今回は第三次世界大戦時に軍事導入された多環境適応強化服(マルチフォームパワーアシストスーツ) WEAPONS(ウェポンズ)・GEAR(ギア)について説明する」
智得は机上のモニターを操作して、黒板のモニターを切り替えながら説明を始める。
「貴様らも知っての通り、我が学園は国家軍事及び育成施設である。今、世界はウェポンズ・ギア開発者の博士たちを筆頭に、大きく九つに分かれて戦争を行っている。
しかし、我々はどの国にも所属しない。我々は独立国家『ビフレスト』として戦争行為を行う全てのものを破壊、根絶することを目的とする。
我々の使用する量産GW《フリーダム・フラッグ》には動力炉(コア)としてPS(プレソーラー)鉱石と呼ばれるエネルギー鉱石から発するエネルギー粒子を圧縮した結晶を使用している。ただこの結晶から直接機体へとエネルギーをまわすのではなく、
この後の実技の授業で見ることになるだろうがこのタンクに貯めたエネルギー粒子を後方から放出し、飛翔する。飛行時間は普通に飛ぶだけならば半永久的に飛ぶことが可能だ。
さらには機体の周りに圧縮した粒子を展開することによってほとんどの攻撃を防ぐことができる。現在確認する限りでは心配はいらないが、もしこのエネルギーシールドが突破されるような攻撃を相手が行ってきた場合、オートで発動する防御機能 《絶対守護障壁》によってあらゆる攻撃に対処できる。
ただタンク内の貯蔵エネルギーの消費が著しいため、やはりオートだからと頼らずに自分の意思でのシールドの展開が戦闘時の生存率を高める要となるだろう。
さらに生体維持機能も備えられており、貴様たちが生命の危機にさらされることはほとんどないに等しいと思ってもらって構わない。しかし、結晶から放出される粒子をほとんどそちらにまわすために全体的機能が低下するのであまりこいつに頼るのはおすすめせん。
次に装備についてだが、先ほど言った《量子保存データ領域》に武器を量子化させて保存、自身の意志で自由に保存してある武器を呼び出すことができる。ただし、 全ての機体で量子変換容量によって装備には制 限がかかっているぞ。拡張容量パックを使えば多少は増やすことができるがな。そしてハイパセンサなどによって、そこらのコンピューターよりも早く思考・判断・実行へと移すことが可能となっている。
まぁ、基本機能としてはこんなところか、今説明したほとんどは慣れが大切だ。
一年の貴様たちは機体の操作とこの粒子シールドの展開練習が主な課題だ。
GW操作のイメージやコツは実技の際に伝えるがやはり一番なのは自分の一番やりやすい自己流の方法を見つけ出すことだな。…何か質問はあるか?」
彼女がそう聞くと一人の生徒がスッと手をあげる。
「アリス、なんだ?」
「現在手に入っている敵の兵器データの提示をお願いします」
「ん、了解した。では全員ファイル94番の⑨を開け。まぁ、この学園はステルス性が高いからそうそう敵は現れないうえそれを対処するのはほぼ全て上級生たちなので頭の片隅にでも入れておけ。さて、これが我々が敵対する国々が共同して使用するGW 《ヴィグリード》だ。
国々によって様々なカスタマイズが施されており、武装について言っているときりがないので省略する。標準的の姿としてはこの全身装甲(フルスキン)のロボットのような姿を覚えておけば問題ない。
我々とは違い、他の国々はまだPS鉱石、量子化技術を発見していないためエネルギーシールド等が備わっておらず、一体一体はさほど強くない。がしかし生産コストが低く、大量生産できるため、こちらが囲まれると数で押し切られる事もあるので注意が必要だ。
飛行には戦闘機のような翼をつけ、空を自由に飛び回る。頭部に黄色いプロペラは付いていないので勘違いしないようにな」
シーン…
ボケたつもりなのかもしれないけど滑ってるよ先生。
「んん、ウィグリードの地上移動はホバー移動と機動力は高い……あぁ、3人が一列ならんでアタックを仕掛けてくるようなやつは見たことはないが見つけたら最初のやつを踏み台にしてみたら対処ができるぞ」
……。
あ、また滑ってる。
先生が咳払いをすると同時にチャイムがなる。
「さて、次の授業ではいくつかの班となって早速機体を動かしてもらう。練習はグラウンドで行うので各自ちゃんと準備をしてくること。くれぐれも遅刻せんようにな」
…こっちを睨まないで下さい先生。
笑えば良かったのですか?
さすがにそれは厳しいです。
「では、以上だ」
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