06-3
数分後、戦闘を終えた二人はダイブギアを外してからゆっくりと起き上がる。
「ぁーやられた。何あれ…エネルギーフィールド?
アレ効果が無くなるの早すぎだろ」
速効で敗北したのが納得いかないぼくは愚痴をこぼす。
「それはお前が全ての防御にフィールドを使うからだよ」
「そんなこと言っても盾は小さいから防ぐの難しいし」
「お前のはスピードが速いからあれ以上でかくすると空気抵抗に耐えきれずに腕が吹っ飛ぶしな、まぁ我慢しろ」
「でも20戦ぐらいして一回も勝てないのは納得がいかないよ」
「対処法なんていくらでもあるだろうが、例えば弾丸を刀で切ったりとかな…まぁその辺はおいおい練習するこった。俺も最初は結構苦労したんだぜ」
「ふぅん。そっか…刀で…うん、確かにそうだね。今度はそれを考えながらがんばってみるよ」
ぼくは微笑みながら返事をしてモニターの時計に目をやる。
時刻は既に17時を過ぎていた。
「…まだまだ遊びたいけど時間も遅いし、ぼくはそろそろ帰るね」
「あ、ちょっと待て」
「ん?」
そういって部屋から出て行こうとしたぼくを彼は引き留める。
「こいつのデータをこのファイルに入れて…よし」
彼は引き出しの中から銀色の腕時計を取り出すと僕に気付かれないように横にある挿入口にキーボード横から取り出したマイクロチップを挿し込み、ふたをしっかりと閉める。
「ほい」
友人はその腕時計をこちらに向ける。
「これは…何?」
「電波時計」
「いや、そうじゃなくて…」
「まぁ、なんだ…光牙もできたし、なんというか…あれだ礼だよ」
そう言いつつ腕時計を付属している黒いケースにしまう。
「礼なんていいよ。それに光牙は僕が頼んでわざわざ君に作ってもらったものなんだから礼をするのはこっちの方だよ」
「いいんだって…本当なら光牙のデータは上手く出来なくて消してしまう予定だったし」
「え?どうして?」
「まぁ初めはノリで作ったもんだったんだけどかなりこのゲームシビアなところが多いだろ?」
「うん、そうだね」
「だからやっぱ速いやつ作ろうとするとそのぶん体にプレイヤーに疑似とはいえG負荷がかかってくるんだよな」
「でもそれを抑えるように作ったんでしょ?」
「そうなんだけと…それでも全然人が乗れるようなものではなかったんだけど」
「?…だけど僕が乗りこなせてはないけど、乗って遊べてるじゃない。だからやっぱりかなり抑えられてるってことじゃないの?」
「まぁ、そうなんだろうけどな…とにかく光牙が完全に完成したのはお前のおかげだ。だから受け取ってもらえるか?」
「でもやっぱり…腕時計(これ)、高いでしょ。何十万円もするんじゃないの?」
「言うほど高くないよ」
「でも…」
「いいから持ってけって、せっかく完成したんだし…礼なんだから気にすんなって…こういうのよく親から届くもんだから余るくらいあるんだよ。むしろしまう場所に困ってるぐらいだから、さ」
それは君が無造作に
そう思い防人は短くため息を吐いてから
「……そこまで言うなら、ありがたく受け取っておくよ」
「おう」
僕は時計に目をやり、受け取った腕時計をカバンしまってから肩にかける。
「それじゃあさすがにもうまずいからそろそろ行くね。バイバイ」
「おう、またな」
そう言いながら手を振る彼が若干さみしそうな顔をしていることに僕は珍しいなと思いながら家を出て、帰宅した。
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