03-6
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タイマン戦の説明。
ランダムに生成されるフィールドにて一対一で戦う。
決められた時間内によりおおく相手のフィールドのエネルギーを消費させたものの勝ちとなる。
ロード完了。次へ
短いロード画面を抜け、慧は電脳の世界へと到着する。
彼はまず、目を開けてまず自分の姿を確認する。
普段遊んでいるヴァーチャルゲームとはこれと言って違いは今は特に感じられない。
試験の時と同じようにダイバースーツのような陸上の冬用のパンツのようなピッチリとした服を見にまとっていることも変わりはない。
『登録された両名のGWを展開します』
試験の時と同じ鉄の部屋に設置されたスピーカーから
機械音声が聞こえ、体が光に包まれる。
光が拡散していくと同時にフリーダム・フラッグが試験で選んだ武装を身に付けた状態で現れ、慧は動作を確認し、頬笑む。
うん、やっぱり近接型はいいな。射撃の苦手な僕としてはうれしい。
しかも今回は一対一、試験の時みたいに多数の敵相手に混乱することなく一体に集中できる。
慧は腰の刀を握り締め深呼吸をし、気合いをいれる。
『それでは両者カタパルトへ』
「よっしゃ、いくぞ!」
慧は心の底からワクワクしながら機械音声の指示に従って既に起動しているカタパルトへ搭乗する。
『カタパルトの搭乗を確認。敵機の位置を算出完了……発信どうぞ!』
「防人 慧……行きます!!」
慧の声に反応し、カタパルトが稼働する。
「うっ!」
五感を再現しているというのはどうやら本当のようだ。
試験の時とは違い体を切る風がすごく、Gによって身体に負荷がかかる。
慧はその負荷に顔をしかめながらも試験と同様に三つのアクセルリングをくぐり、高速で外へと飛び出す。
「ぅ……さて、アリスさんはどこに…!?」
飛び出して間もなくGWからロックオン警告、攻撃警告の知らせが音とともにバイザーに表示され、慧の左脚に弾丸が直撃する。
「なっ!」
攻撃!?……一体どこから?
慧は急いでマップをモニター表示するが敵を示す赤い点が表示されておらず、舌打つ。
急いで近くの弧島に降りて森に身を隠す。
コッチのセンサー外から射撃……あぁそうかアリスさんの武装は狙撃タイプだったな。
よくよく考えてたらかなり不利な条件な敵だな。
近中距離に対して超遠距離からの攻撃か。
「さて、どうしたものだろうか……ただ突っ込むだけじゃ狙い撃ちされるだけだし……ここはステルスゲームっぽくこそこそと……ゆっくりこっそり近づいて後ろからスパッと……いや、場所もわからないし、そもそも真剣勝負を汚すような真似ができるわけない。ここは正々堂々と銃弾を避けながら飛んできた方へ飛んでいって近距離戦闘を行うとするか。やっぱり牽制程度の遠距離武器は必要かな」
慧は呟いてから大きく息をはくとセンサーの感度を高め、腰の刀を抜いてから全速力で空へと飛び出す。
◇
アリスは高い丘のある島からスナイパーライフルのスコープ越しに慧の姿を確認していた。
木々に隠れて見えなかった彼が高速で飛び出てきたのを見て目を見開き、薄っすらと笑みを浮かべる。
「─―!!……まさか飛び出してくるなんて、じっと隠れてるかなって思ったけど……近接武器を選ぶこといい確かに面白い人なのかもしれないね。それとも何か策でもあるのかな?……ちょっと試してみようかな」
アリスはスコープの倍率を調整しながらタイミングを見計らってライフルの引き金を引く。
火薬の破裂した音とともにスナイパーの弾丸が放たれ、慧のGWの腕目掛けて飛んでいく。
しかし弾丸は当たらなかった。
決して狙いを外したのではない位置、タイミングともに申し分なく直撃コースだった。
「わぉ……ふふっ」
まさか弾丸を刀で弾き落とすとはね。
しかもあの高速移動の中で……正直驚いた。
いくらセンサーによる警告や機体、システムによって空間把握や動体視力の底上げをされているとはいえ、こちらは距離的にもあちらからは見えていないはず。
ということは弾丸が近付いてくる警告に対応して即座に刀を降るっていることになる。
「確かにあの人の言う通りやるね。君は久しぶりに楽しめる相手ってやつかな。……さて、それじゃこれはどう?」
アリスは笑みを浮かべたままスコープの倍率を下げながら十字を下へ下げて、手頃な岩へ向けて引き鉄を引き、薬莢を外に吐き出しながら次弾を慧へと放つ。
岩に当たった弾丸は岩を砕きながらも斜め上に跳弾し、防人に向かって飛んでいった。
◇
ーー来たか!
慧はセンサーからの報告その弾を弾くために刀を振るうが、後から飛んで来た2発目の弾がその弾丸をさらに跳弾させ、軌道を僅かにずらしながら自身の胴体へと飛んでいく。
「――な!!」
何てやろ……あ、いやあれは男に向けて言うから違うか。
慧はすぐさま腰のスカート装甲からダガーを飛び立たせ、その柄で弾丸を弾いて難を逃れる。
まさか弾丸に弾丸を当ててくるなんて。
「ビリヤードやってんじゃないんだから勘弁してほしいもんだな」
なんて思いながらも慧はさらに速度を上げて体にかかるGをさらに重くしていく。
「うぅ!!……きついけど止まったらやられる」
飛んでくる弾丸を戦闘機の回避行動のように左右にスピンして避け、装甲内のダガーを飛ばして弾いたりしながらじりじりと距離を詰めていく。
やっぱりシステムで動くCPUと違って対人戦は思い通りにはいかないな。
「……まぁそこが楽しいのだけれど」
まるでオールレンジ兵器を使用しているのではないかと思うほどに弾丸を自在に操って戦うアリスに驚きながらもここまでのことができるゲームの脅威のスペックに感動を覚えながら正面から飛んできた弾丸を刀で弾き落とす。
「は!……え!?」
同時にうしろから飛んできた弾丸に腕を弾かれ、握っていた刀を海へと落としてしまう。
「うぁ!」
うしろから……まさか回り込まれた?……いや、違うな。
慧は既にセンサーが索敵範囲内にいるアリスを捉えたことを確認し、確信する。
恐らくこれも跳弾させた弾なのだろう。
「でも、さすがに刀を取りには行かせてもらえそうにないな」
しばらくしてセンサーのズームで姿の確認ができるほどまで接近した装甲内のダガーを取り出してライフルを破壊するためにアリスに向けて思いきり投げる。
しかしアリスは落ち着いた表情でライフルな引き鉄を引き、ダガーを破壊する。
「やっぱりそう簡単にはやらせてもらえませんか」
「ボクの武装での主力だからね。……でもこの距離だとさすがに使い回せないからね。そろそろ」
アリスはライフルを背中にしまい、左手にハンドガン、右手にナイフを構える。
慧もその間にダガーをしまい、小太刀を構えて目の前の敵に集中する。
「アリスさんは近接戦闘もいけるんですね」
「もちろんそうだよ。そうじゃないとこうやって近付かれたときに対処ができないからね。それじゃいくよ!」
「こちらこそ!」
慧はアリスからのハンドガンの弾を避けながらも手を伸ばし、小太刀でアリスさんの左肩を突く。
「甘い!」
アリスはナイフで軌道をずらし、同時に彼女は慧の眉間へ銃口を合わせる。
「チィッ」
急ぎ、彼女の拳銃を反対の手で叩き弾丸が顔の数センチ横を通り抜けるのを確認する。
二人は笑みを浮かべ、距離を置いて何度もぶつかり合う。
慧が刀を振るい、アリスは身を反らしてそれを避ける。
同じくアリスの放つ弾丸を慧は体を僅かに動かして避ける。
「なかなかやるね」
「そちらこそ」
アリスは空になったマガジンを捨てて、開かれた腰の装甲の隙間から現れた新しいマガジンを素早く装填し、再び弾丸を放つ。
慧は素早く反応し、腕のシールドで弾丸を弾く。
「――!?」
「後ろだよ!」「がっ」
即座に後ろへと回り込んだアリスからの蹴りを食らう。
防人は吹き飛ばされ、バランスは大きく崩れる。
彼はすぐさまバランスを整え、アリスの放った弾丸をかろうじて避ける。
手に持った刀を強く握り締め、振るい、彼女の持つ銃を破壊する。
同時に腰部の装甲の隙間から打ち出された短剣をアリスに投擲する。
アリスも素早く太股のホルスターからもう一丁の拳銃を抜き取り、その全てを正確に撃ち落とす。
同時に接近していった防人は刀を振り上げて降り下ろす。
アリスは短剣を使いそれを防ぎ、頬笑む。
「……今回はボクの勝ちだね」
「何を言ってんです?まだまだHPバーは――!?」
『タイムアップ……WINNER受験番号00001番、アリス!』
「へ?」
慧は呆気にとられ、呆然として素で声を出してしまう。
ブザーが鳴り響き、機械音声によって告げられる勝者の名前。
気が付くと両者はもといた部屋に戻されていた。
慧は視界が晴れてすぐに視界上を確認する。
残り時間0:00:00という表示を見つけ、慧は大きく息をはき、独り言を呟く。
「はぁー確認するの忘れていたな」
慧は腰の刀を振り上げ、その刀身を光らせる。
「それとこいつ……いや、こいつしか知らないはずなんだけど……やっぱりなんか納得いかないというかしっくり来ないというか……いや、近接戦闘型で素早いってのは確かに好きなやつだけど、なんか違うんだよな……。とは言っても今言ったところで負けたことの言い訳みたいだな」
それにしてもなんだろうこの気分は?
懐かしい……っていうのかな?
なんでそんなことを思うのかな?
見にまとう機体が消え、同時に放送が流れる。
『お疲れ様でした。これより両名のログアウトを行います』
慧は元の世界に戻る扉が開かれるのを確認した後、大きくため息を吐いてからゆっくりとした足取りでその扉を潜る。
◇
防人とアリスが戦っている一方で植崎と宏樹は協力して戦っていた。
「くそったれ!なんで、なんで当たらねえんだ!?」
植崎は大声で叫びながらガーディアンに向けて肩に取り付けられたポッドからミサイルを発射する。
しかしその弾頭はあっさりと撃ち落とされる。
「だから何度も言ってますが正面から飛ばしすぎなんですよ。だから軌道も読みやすいから打ち落とされやすい。ただ撃つだけでなく、もっとシステムもしっかりと使ってください」
「なら、こいつでどうだぁ!!」
植崎はガトリングガンを構え、正面の敵に向けて放射する。
「ですからそれでは力業になります。それに後ろががら空きになるんですよ」
宏樹は注意しつつ、植崎の後ろから迫ってくるガーディアンたちをライフルで綺麗に撃ち落とす。
「わりぃ助かった」
「確かに貴方の武装は火力で押し切るタイプなのでそれで間違ってはいませんが今回はチーム戦です。そのためのアドバイスをチュートリアルで教えてもらったはずなんですがね」
「チュートリアル?あぁそういやそんなもんあった気がするな」
「忘れているのですか……はぁーまぁいいです。では今から教えますのでその身体にしっかり覚えてください」
「おう、よろしく頼む」
宏樹はそう言って迫って来るガーディアンたちをライフルで的確に敵機を撃ち落しながらレクチャーを進めていく。
「まずその機体にはロックオン機能があるんですからそれを忘れずに使用してください。それからセンサーによる周囲の把握……あなたの機体にはホバー機能がありますから立ち止まることなく動き回りながら攻撃することを心掛けてください」
「おう」
「更に……」
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