第34話「飛竜を探そう」
翌朝、タケル達はイシャナに呼ばれて会議室へと向かった。
そこには既にディアルやソウリュウ、他にも幹部らしき数人の男女が席についていた。
「おはよう皆。昨日はよく眠れたかな?」
中央の上座に座っていたイシャナが声をかけてきた。
「ええ。おかげ様で」
「そうか。じゃあ早速だが作戦会議と行こうか」
「さ、皆さんはここに」
タケル達はディアルに促され、イシャナの左側面の席に座った。
「では始めるとするか。さて、ソウリュウ。何か案があるそうだが」
タケル達の対面、イシャナの右手側にいたソウリュウが立ち上がり
「ああ。俺が夜を徹して考えたんだ。これなら誰も死なせずに敵を倒せるぞ」
「へえ、どんな作戦?」
タケルが興味津々に尋ねると、ソウリュウが握り拳を作って力説した。
「アキナちゃんとユイちゃんがすっぽんぽんで敵陣に突撃するのだ! そうすれば全軍鼻血ブーだぜ!」
チュドーン!
タケルは素早く抜刀して全身全霊の一撃を放った。
そしてそれを喰らった
「ア、ガ、なにしやがる、てめえ」
「やかましい! そんなのはこいつらよりセクシー巨乳ねーちゃんに頼んだ方が効果あるわ!」
「おーい、お怒りはごもっともだがそのくらいにしてやってくれー。話が進まねえからさー」
「あ、ごめんなさい」
アキナとユイは二人がかりでタケルにロメロスペシャルをかけていたが、イシャナが止めたのでそれを解いた。
「ふ、ふう助かった。しかしさっきの技、我ながらすげえ威力だったな。うまくやれば実戦でも使えるかもな」
タケルはそんな事を呟いた。
「まあ冗談は置いといて真面目に行こう。まず敵の数だが、一般兵士が一万人、騎馬兵が二百人、竜騎兵や魔法兵、傭兵等で約二万人ってとこか。そしてこちらはというと、今んとこ約二千人だ」
ギャグ漫画の如く速攻で復活したソウリュウが真剣な表情で言う。
「そしてこれは世間に知られてないのだが、王自身が王国最強のイシャナとほぼ互角の実力者なんだよ」
「え、イシャナ様ってたしか一度に数十人の敵を倒したって話もありますが?」
ユイが手をあげて尋ねた。
「あ~、どっからそんな大げさな話が出たんだろな~」
イシャナが苦笑いしながら言うと
「おのれは以前二百体の魔物を数分で倒しただろが! それでも過小評価なくらいだ!」
ソウリュウがキレながらツッコんだ。
「……それってようするに、ツーネ王もめちゃくちゃ強いって事ですね」
ユイは青ざめた顔になった。
「ああ。だから王と戦うのは最強の精鋭部隊でないとダメだが、それ以前に王に近づくのが並大抵ではない」
「そうですね。城は転移魔法を跳ね返す結界が張られてますし、向こうにも精鋭部隊がいますしね」
イシャナとソウリュウの間に座っていたディアルが腕を組みながら言う。
「俺としてはディアル率いる本隊が敵の大軍を引きつけ、イシャナ達の少数精鋭部隊が城に突撃、ってのが理想なんだが……それをしようにもこっちの手駒が少ねえからなあ」
ソウリュウは項垂れながら言った。
「ねえ、竜騎兵って飛竜に乗って空を飛ぶんだよね? こっちにはいないの?」
今度はタケルが挙手して言った。
「いねえなあ。あれは王直属の精鋭部隊だし」
「そっか。でも飛竜はどっかにいるんだよね?」
「まあ岩山へ行けばいるだろな。ってそれがどうした?」
「飛竜達に味方になってもらうんだよ。そして空から城へ突撃すれば?」
「あのなあ、そんな事できたら苦労せんわ」
ソウリュウが呆れながら言うが、
「できるよ。俺は動物と話せるし」
「誰かこいつを医務室に連れてってくれ」
まあ普通なら当然の反応だが、変態ロリコンに言われたくはないだろう。
「いえ、彼は本当に動物と話せるんです。そして私達は何度も動物達に助けられてるんです」
キリカがソウリュウを睨みつけて言う。
「そ、そうか。イシャナ、どうするよ?」
ソウリュウはやや怯みながらイシャナに尋ねた。
「うーん、それなら今から三日以内に飛竜を連れてきてくれないか?」
イシャナが指を三本立てて言った。
「え、三日以内? 何で?」
タケルが首を傾けながら聞くと
「ああ。実は向こう側がこちらに攻めて来るのが五日後、という情報を入手したんだ。だから準備も含めると待てるのはそのくらいだ」
「うん。絶対連れてくるよ」
タケルが胸をポンと叩いて言った。
「おい、もし駄目でも気にせず戻って来てくれよ。女の子達もだが特にイーセは」
ソウリュウがイーセの方を向いて言う。
「は、何故?」
イーセが首を傾げる。
「あんたとは後でゆっくり話したいんだよ。あ、口説くつもりじゃないから安心しな」
「あ、ああ。ってあなたは男もアリなのか?」
「何を戯けた事を。俺は生まれた時から幼女一筋二十二年、ロリ魂道まっしぐらだぜ!」
チュドーン!
「お、なんか掴めてきたような気がする」
タケルがまたさっきの技を
「て、てめえ、純真無垢な幼女を愛でてついでにペロペロがそんなにわる」
チュドーン!
「よし、もうひと息かな?」
「ア、ガ」
「……ディアル、彼等を飛竜の住処である岩山へ案内してやってくれ」
イシャナがもう疲れた、というような表情をして言った。
「わかったよ、兄さん……では皆さん、よろしくお願いします」
「あ、はい」
その後タケル達はディアルに連れられ、飛竜の住処へと向かった。
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