第2話

「なあ、真子(まこ)。


今日、俺んちで、『ナンバー9』の上映会やんだけどこねえ?」


空介が言ったとき、「ナンバー9!」って、私は思わず、大きな声をあげた。


今、ヒットしてる海外の恋愛ドラマだ。


でも、最新シーズンはまだDVDがリリースされてないはず。


私の疑問を、空介の笑顔がかき消す。


「俺んちなら見れるんだよ」


何が、俺んちならよ

どうせ、違法アップロードの動画でしょ


と思ったけど、空介は「だから、来いよ」と笑顔で言った。



「悦也(えつや)とか幹次(みきじ)とかもくんだよ。

お前も菜緒(なお)とか璃々花(りりか)とか友達誘って来いよ」


友達という言葉に、私の心がピンとはねた。


空介は友達だ。

無邪気というか、幼稚というか、かわいいところがある。

彼氏にしたいとか、そういう甘い感情じゃなくて、

人間的になんか好きという気持ち。


15歳。

なにかの半分みたいな私の齢。

そのもう一つの半分にちょうどいいような存在感が、空介にはあった。

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