残念。多分本編です
「わたくしの扱いについてどう思いますの? 理の順番ではフロウと1しか違わないのですわ。それなのに、納得できませんわ!」
水の精霊アイムは自分よりも理の順番が1早いだけのフロウが重役で、自分自身については大した役割を当てられなかったのが不満なようだ。拳を握り締めながら生命の精霊エイスに話しかけている。
「ん……。私は、興味ないの」
だが、エイスはアイムの方を見るものの、眠そうに答えるだけだった。生命の誕生を司る彼女だが、本人は人と植物を混ぜたような姿をしている。足が根となりその場から動かない姿は活動的には見えない。
「どうしてエイスはフロウのところにいつも居ますの?」
アイムは質問をしてみる事にしたようだ。確かにブレスとエイスがフロウに懐いているように見える。その原因を知りたいようだ。
「ん……。なんか、心地良いの」
「わたくしは?」
「ん……。うるさいの」
純粋とは残酷である。精霊は基本的には若い姿をしているが、特にエイスはその中でも幼いと言えるぐらいだ。次点でブレス、ガントだろう。エイスは嘘をつかない、本音である。
「わたくしはうるさくありませんわ!?」
「ん……。なんか、うるさい。……騒がしいの」
追い討ちである。だが、アイムはこれくらいではへこたれない。衝撃を受け、崩れた体制を立て直す。意外とメンタルが鋼である。そして、指をエイスに突きつけ。
「ですが、フロウよりもわたくしのほうが凄いですわ!」
「ん……? フロウ、色々やってるの アイムは、何かしてたの?」
「わ、わたくしの方が強いのですわ!」
流石のアイムも多少動揺は隠せないようだ。首を傾げるエイスにフロウよりも強いと宣言するが、信用できたものではない。
「ん……。興味ないの」
興味なさげに、眠そうな目を更に細める。因みに、エイスは地面に根を張って周囲の情報を集めている。アイム? 何もしていない。
「おーい。こんな所で何やってるんだ?」
木に覆われた湖付近。エイスとアイムはそんな所で話をしていたのだった、実際にはアイムが話しかけているだけのようだが。そんな、2人以外には誰も居なかった所に、熱の精霊ブレスがやってきた。
「ん……。根を張ってたの」
「ガントが呼んでるから来いよ。ちょっとした作戦会議みたいなもんだと思う」
水のアイムや、植物なエイスと違い、熱の精霊ブレスは空中に浮いている。だが、見た目はただの軽装な子供であり、空中に浮かなければ人間の中に紛れ込めそうだ。ブレスに触れると非常に熱いので無理な話だが。
「ん……。解ったの。……待って欲しいの」
エイスは自分の根を適度な大きさで自切し、その根を足に変化させる。精霊は比較的精神に依存する性質の為、ある程度は肉体を変容させる事ができる。だが、精神に依存するとはいえ、肉体全てが吹き飛ばされるようなダメージを受けては流石にただでは済まない。
「え、ちょっと! わたくしは無視ですの!?」
ブレスとエイスはアイムなんか居なかったかのように、どこかに行った。残された精霊は、ただその場に立っている。
「解りましたわ……! わたくしが凄いと言う事を証明して差し上げましょう!」
水の精霊アイム。ヒラヒラな服を来た少女、だがその身体は水で出来ている。無色透明だが擬態でちゃんと人になっているため、ブレス以上に人に紛れやすいだろう。だが、水なので衝撃とかでバシャってなるので、やっぱり難しい話だ。そんな彼女は、ぼっちでなんか決意していた。
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