エントリー

 ジャックは唖然とした。メグもカノヴァもダリオも、みんな唖然とした。

「すっげえぇっす!なんすかこの建物!何で出来てんすか!?」

カノヴァは興奮気味に騒ぎ始めた。彼らの住む世界には存在しない景色だったのだ。人を乗せて動くよく分かんない奴、やたら高い建物、当たり前のようにある窓ガラス……。全てが、彼らにとっては……、とっては……、なんか……、すごかった!

「もう何も言わないぞ。」

そうジャックが呟くと、メグが囁いた。

「もう言ってるわよ。」


 進んでいくと、列らしきものが見えた。近づくと、これまた異様な光景だった。なんかデカイ生き物だの、メチャクチャ暗い男だの、なんか裸足の女性だの、ただのねこだの……。

「ヤベェ……!頭痛くなってきた。」

ダリオが頭を抱えて俯く。

「しっかりしてくださいよ、陛下!マジすごいっすよ!イマジネーションの域を超えやしたよ!!」

カノヴァは感嘆の叫びをあげながら、ダリオをゆっさゆっさと揺さぶる。

「あ!カノヴァやめて!陛下が死んじゃう!」

メグが慌てて止めに入る。


 エントリーの為には、名前を書く必要があるらしい。早速書こうと(この時ジャックは、渡されたペンが羽ペン出ない事にも驚いた。)するも……。


「おい、ファーストネームとラストネームって書いてあるんだが……。」


「ジャック」というのは本名ではなく、ただの通称なのだ。

「本名じゃなきゃだめなのか?」

「そんなに嫌なら、“J Ackジェイ・アック”とかにすれば?」

メグが少々面倒くさそうに言った。

「いや、いいわ。」

ジャックは用紙に名前を書き入れた。


Elardiaエラーディア Snigulsonスニグルソン aka通称 Jackジャック

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る