参戦まで
これはジャックが、メグ、隣国の発明家・カノヴァ、その国王・ダリオと旅を始めてしばらくの事である。
4人は小道の前に突き立てられた看板を見つめていた。
“最強キャラクター決定…………”
書かれた文字の最後の方は、妙に汚れていて読めない。
「何だこれは?」
ジャックが怪訝な表情で言った。いや、怪訝な表情を浮かべているのは、彼だけではない。
「最強キャラクターを決めるらしいわよ。ウィルとかクロードとかやってるんじゃない?」
メグも小馬鹿にした様子だ。
「いや、ウィルは体力持たんだろうし、クロードは形式ばった物は好かんから、ないだろう。他の奴も、面倒くさがるしな。」
ジャックは相変わらず気に入らないようだ。
「大将……!」
突然、カノヴァが深刻な顔つきになった。
「嫌だぞ。こんなものに参加している暇はない。」
ジャックはカノヴァの意図を読み取っていたが、彼女はめげない。
「何を言ってるんすか!男と男が汗水流して拳を違わせ、最後には……、互いを認め合い、生涯の
「絶対この大会にサドンデスはない。そもそも暴力は反対なんだ。」
メグが腕を組んで、呆れたような顔つきになる。
「よく言うわ。真っ先に殴りにかかってるの、ジャックじゃないの。」
「どこのジャックだ?けしからん奴だな。」
どうしても参加したくないらしい。
「頼みますよ、大将!こういうの1度見てみたいんすよ!結構見てやすけど。」
カノヴァは両手を合わせて頼み込む。
「おぅ。お前が出るなら、俺も見たいな。」
ダリオはやや楽しそうに言った。
「なんです、陛下まで。状況を分かっておいでですか?」
ジャックは焦り始め、少々言い方がキツくなってきた。
「あ、それなら私も見たいわ。」
「は!?」
メグも賛同してしまい、ジャックは更に慌てた。
「安心しろ、ジャック。ぶっちゃけ言うと、お前が戦ってる間は、ここでは何も起きない。」
ダリオはジャックの肩に手を置いた。
「むしろ、大将の存在アピールの大チャンスっすよ!」
カノヴァも彼の手を握る。
「ていうか、ここまで来たら無理矢理にでも参加しないといけないのよ。しょうがないの。」
メグは肩をすくめた。
「えぇぇ……。」
3人に圧されて、結局ジャックは参加する事となった。
「さぁ、行くわよ。時間もないの。」
ジャックは3人に引っ張られ、会場へと向かう。
「こんな展開でいいのか!?」
いいのだ。
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