桜は散る方が美しいと思わないかい?
ふわりと風が舞うと枝が揺れ木々が騒ぐ。白い桃色の花弁がふわりゆらりと散る。
短い時間の中で花を咲かせ、呆気なく散る。人は散る瞬間が美しいと言うけれど僕はそう思わない。花が散るってことはそれは
死にたくない、散りたくない。まだ生きていたい。
ふわりと一層強い風が吹き込む。春の暖かくも少しひんやりとしている風は花弁を乗せる。
「嫌だ! 僕は、まだ……」
風は桜並木の間を通り、花弁を舞わせる。最後の舞台だと言わんばかりに沢山の花を散らす。
人は綺麗だと騒ぎ、カメラを向ける。
「綺麗ね」
桜は咲いてるよりも散ってるほうが美しいと思わないかい?
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