甘酸っぱい飴玉

 からんと乾いた音を立てながら舌の上で飴玉を転がす。甘酸っぱい香りが鼻孔を擽る。甘くてどこか酸っぱい味。

 この飴玉はまるで今の関係を表しているようだった。また一つ、からんと音を立てる。


八尋やひろ!」


 愛しい声で姿で彼女は僕の名前を呼ぶ。ふわふわと揺れる髪は柔らかく、まるで動物の毛を撫でているようだった。

 甘くて溺れてしまいそうな関係。しかし、どこかもどかしい距離のある酸っぱいもの。


 甘酸っぱい関係ではなくて、甘い甘い関係になりたい。

 からんと舌の上で飴玉を転がし、音を立てながら飴玉を噛んだ。もどかしい距離を縮めるかのように彼は一歩踏み出す。

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