例えばの話


 当たり前の日常。学生ならば学校へ行き、社会人ならば仕事へ赴く。毎日を繰り返し、些細な変化しかない平和で退屈な日常。

 だから彼らは本へ、物語へ逃げる。非現実を夢見て。


 それは例えば現代人が異世界へ行く話。それは例えば魔法とファンタジー溢れる中世の世界。それは例えば科学が発展した世界。それは例えば世界が滅亡する世界。それは例えば猟奇的殺人の世界。それは例えば……。そんな世界を夢見て物語へ逃げる。


 もし、前触れもなく世界が破壊し、人類が滅亡の危機に陥った時、彼らはどうするのだろうか。主人公特性もなく、ただの一般人。彼らは──、……どうすることも、出来ないのだろう。

 人類が滅亡の危機に直面した時点で人類の人口は大幅に減少している。それはつまり、何も出来ない、何も。

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