第60話 産まれたのは

「ふみゅううう」

 変な声を出して、伯爵はぺたりとしゃがんだ。


「どうした、サスケヒゲゾー伯爵」

 く、苦しそうに、脂汗まで掻いて。

 可哀想だと思ってしまうじゃないか。


「お腹が痛くて、少し眩暈と吐き気がある。つっ」

 もう、横になるほど辛いのであろう。


「急病か? ならば、救護班を呼んで参る」

 さっと立ち上がったが、遮られた。

 漢の優しさは時にはライバルにも必要不可欠だ。


「お気遣いなく。ただのお産ですから……」

 しおらしくするな!

 キャラに合わないぞ。

 その前に、お産かい!

 突っ込み所満載なのですがー。


「大体、何故お産なんだ? どんな魔法も生物の再構築はできないし、禁じ手だ」

「知りたいのは、こっちだ」


 はあ、はあ……。


「は、は、ふー……。は、は、ふー……」

「ウマーズ法を使うな!」

 仕方がないでちょー!

 サスケヒゲゾー、産まれたら、髭を剃るからな。


「う、産まれる、胃から鼻に上がって、スイカのような大きな赤ちゃんが……」

 赤ちゃんは玉のようにお健やかで美味しそうですよ。


「ん? 美味しい?」


「お前は、スイカばっかりだなー。今度は、でんすけすいかを頼む」


「スイカになっても、サスケヒゲゾー。こんな魔法は持ってないぞ」

「温泉卵売りから買った、ついでのスイカの種が役に立つとはな。ほいほい、売るぐらい作れや」

 ひょっとこもやるものだ。




ばぶ

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