第58話 ぺっ
「先程は唾をちょうだいした。これは美味しいお返しだ。召し上がれ、サスケヒゲゾー伯爵」
うんと腹を膨らませて体を弓のように使った。
――ぺっ。
「何だ。何かの種か?」
ぶぶーん。
種にブーストがかかって、次第に種はジェル状の大きな黄緑の球体をまとった。
そして、球体は伯爵の体よりも大きくなり、包み込んだ。
「や、やめろ! 息が苦しい……。何かの魔法か?」
もがくこともできず、首元に腕を伸ばしている。
だが、可哀想だとは思わないぜ。
「ベスビーオ山の温泉卵魔法! 美味しい、美味しい何かができるよ」
「ふぐほ!」
ジェル状の球体はボヨンボヨンとたわむ。
「杖など使わなくても魔法はできる。セクシー・ド・ヨンゲーン式だ」
サスケヒゲゾー伯爵の体に種がめり込んで体のきしむ音が容赦がない。
そうだ。
あの温泉卵売りから得たスイカの種は、この為に使いたかった。
卵を買ったついでに買っておいて良かった。
商売上手のひょっとこめ。
「うー! ぐはー!」
サスケヒゲゾー伯爵の口から、スイカの実が、ぼこぼこと続けて出てきた。
「うげ、うげ……。ごーぼ、ぼぼ」
ジェル状の球体の中で苦しみ続ける辱めを気位の高い伯爵にしてやった。
「おい。姫を返すか?」
「うごぼぼぼ」
「何を言っているのか分からないな。まあ、気も済んだ。セクシー・ド・ヨンゲーンは、漢だ。元に戻してやろうぷり」
体を弓なりに反らせ、大きく息を吹きかけてやった。
そうすれば、黄緑のジェルは吹き飛ぶ。
「おかしいぷり」
「うげうげぼー」
もう一度、大きく息を吹きかけても、ジェルは吹き飛ばないので、首を傾げるばかりぷり。
「うげぼぼぼぼー!」
「ごっめーん」
ごめんで済ますな
漢失格ぷり
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