夏の計画
普段は降りない駅、通り過ぎるばかりだった住宅街。
重苦しい冬空に負けない、曇った顔で切符を改札口に流し込む。改札口のバーが機械的に開く光景が、俺には何かとても不吉に見えた。
いや、実際不吉、良いなど期待できないのだろう。彼女から如月さんや俺に連絡することなど、そうない。
俺は冷たい空気を吸い込み、よし、と腹を決めた。如月さんが別件で動けない以上、俺が行くしかない。それにここでバックレたら、後が怖すぎる。
そう、この街を治めている雪女は執念深い。大妖怪、
雪女、望美雪はこの住宅街のどこからでも見上げることができる山に、多くの妖怪兎を従え暮らしている。
そんな彼女が下界、つまり住宅街に下りる時は決まって子供目当てだ。俺は街のあちこちの陰からそっとナビゲートしてくれる兎らに従い、賑やかな公園へと辿り着いた。
日曜の午後、遊ぶ子供やその親達。場違いな俺は居心地が悪く、とにかくさっさと彼女を探そうと歩き回る。
子供が野球に興じる姿を、ベンチに腰掛けに眺める、肌の白い長髪の女……彼女だ。
近づく俺を彼女は見ようともせず、子供達を見て微笑んでいた望美雪だが、あと数歩で彼女の傍、という所まで来ると。
「お久しぶりね、ムラマサ」
と、それでも彼女は俺に見向きもせず、穏やかな声色で俺に言って寄越した。
「私が寝ている間に、女の子と同棲し始めたんですって? 今日は連れてきてないのかしら?」
「……少なくとも、あんたには会わせねえよ」
俺はそう言って、彼女がここに座れと手招きする望美雪を手で制し。
「で、何かあったのか? あんたが如月さんを頼るとは珍しいな」
彼女が支配している土地はこの住宅街と山を幾つか……広さとしては狭い方だ。
しかし、その妖力は本物だ。それに如月さんが領有する地域に隣接している以上、彼女の声を無視することもできない。
望美雪は、言い難そうに顔を明後日の方向に向けた。
「……お前の娘の件じゃあないだろうな?」
「まさか、確かにこの地を捨て、渋谷なんかに住みたいなんて言い出す親不孝ものだけど、白雪のことなら私が何とかするわ」
嘘つけ、この馬鹿野郎。俺は心の中で悪態をついた。数年前、この親子の喧嘩のせいで関東地区に大寒波がきたことを俺は忘れてはいない。あの時は和尚が二人まとめて調伏してようやく収拾がついたはずだ。
望美雪は心底面倒臭そうにこちらを見て、言った。
「ちょっと私が寝ている間に、部下の数人が反乱を企てたらしいんだけど」
「ようやくあの兎達も、独立戦争を企てるようになったのか。結構なことじゃん」
「ブチ殺すわよ。刀の九十九神」
寒さに弱い刀である俺だ、妖力によって寒波さえ操る雪女に勝てるわけない。俺は素直に謝った。
「……しかし、だったらお前が直接叩けば良いじゃないか」
「それが兎達のどこまでが反乱分子か、分からない。反乱分子は夏場にしか行動しないのよ」
なるほど。俺は頷いた。四季によって体力や妖力の度合いが変化する妖怪は多い。雪女は名に雪を冠する通り、夏場には極端に力を弱めると聞いている。
「それで、俺に調査させようってことか……調べるにしても何かしらアテはあるのか?」
「アテ、アテねぇ……」
望美雪は髪の先を指に巻き付けて弄びながら、しばし黙り込み。
「……ま、あの子達をまとめられるのって、限られるからね。娘は私以上に夏は駄目だし、そうなると……」
鉄腕バニーか。俺はそう言って溜息をついた。
鉄腕バニー、本名を
元はライオンラビットという種の、人に飼われていたウサギだったらしい。しかし飼い主に捨てられ、死の間際にて妖怪化したのだと聞いている。
噂によると、金屋子神という製鉄を司る日本の女神が死にゆくそのウサギを哀れに思い、腐ってしまっていた左腕に自ら精製した鉄腕を与えたのだという。こうして神に与えられた鉄腕から神性を得て、そのウサギは妖怪化し第二の生を得たのだ。
ここまでは美談と受け止められるのだが、その後が不味かった。妖怪として力を得たそのウサギが真っ先にやったのは、人間の保健所を襲撃。日本の妖怪事情など知る由もない彼は、事もあろうにペット達の解放戦を始めたのだ。
当然、誰一人彼の素性など知らぬ大妖怪達は彼の擁護をせず、このウサギは名も知られず、人間によって始末されるはずだった。
しかし、この神が気まぐれで生かしたウサギはやたらに強かった。妖怪殺しとして数々の祓屋や専門家を病院送りにさせ、果てには祓屋として悪名高い老山と伝説的な殺し合いをやってのけ、生き残った。
そうして付いた異名が『鉄腕バニー』だ。神に与えられた鉄腕を振るう
最終的に瀕死となった鉄腕バニーを、望美雪が自分が支配する山で匿い、人間達も彼の討伐を諦めた。
それから三年余り、彼のその後は世に出回っていない。人によっては死んだのだと思っている者もいるようだが、彼が草野雹として山で生きていることを望美雪から聞かされていた。彼は望美雪の部下である妖怪兎達の実力ナンバーワンとなり、雪女親子に尽くしているのだと。
望美雪から依頼された冬空の日から、早くも半年ばかりが過ぎた。
俺は望美雪が治める山に出向き、彼女から依頼されたことの真相を確かめようと山奥へと踏み入った。
俺はしばらくの間、黙々と獣道を進む。こちらが探さずとも、こうして領地に踏み入っていれば向こうから兎達はやってくるはずだ。
お前一人で充分だろうと、如月さんはこの件に手を貸してはくれなかった。と言っても、俺が動いてしまうと話が面倒になるからと如月さんが言う以上、こればかりは仕方がない。俺が思う以上に、大妖怪同士の関係は複雑なようだ。
いや、またはこの暑い中、山を登りたくなかっただけかも知れない。俺はそんな考えを汗と一緒に拭いきれなくなってきた。あの男の事だ、それもまた充分にありえる。
そんな事を思い出しながら歩くこと十数分、流石に警戒心も薄れてしまっていた頃だ。
コン、と。小石が空から俺の前方に落ち、音を立てた。
「止まれ」
「妖刀ムラマサが」
「この山になんの用だ?」
空からの小石に思わず立ち竦む俺に、畳み掛けるように周囲から声がする。
「ここはお前の来るべき所じゃない」
「今すぐに立ち去れ」
声は四方から聞こえ、そして絶えず移動している。
複数で言葉を繋げ喋り、また絶えず動くことで位置を撹乱しているのだ。如月さんのような鬼にはあり得ない、臆病な妖怪兎ならではの知恵か。
とはいえ、そうだ。俺は一度深呼吸をし、昂ぶろうとした気持ちを落ち着かせる。そう、別に俺は争いに来た訳ではないし、向こうの姿が見えていなくとも問題はない。
「草野雹に会いに来た」
俺はそれだけ言うと、周囲の木々、草陰を見渡した。
「望美雪から頼まれて来た。彼はどこだ」
俺の言葉に、周囲は静まり返った。予想外の切り出しだったのか、対応に困っているのだろう。
やがて、草陰から一人の男がさっとこちらへ飛び出してきた。
背丈は150センチあるかないかだろう、短身痩躯だが印象に残るのは部分的なものだ。低いライオンのたてがみのように規則性なく左右に広がった茶色の髪と、額の切創。そして薄汚れた甚平から伸びる、銀色の左腕。
「草野雹……鉄腕バニーか」
「俺に何のようだ」
草野はそっけなく応え、大きな瞳で俺を睨んできた。
「美雪様は今、お休みになられている。何人足りとも会うことは……」
「いや、彼女じゃない。お前に会いに来たって言っただろ」
それを聞いて、草野は怪訝な顔をした。俺は構わず、要件を言った。
「暑いし、手短に話そう。お前、望美雪に隠れて夏場に何をしている」
「……何の話だ?」
周囲から、隠しきれない動揺があった。ここにいる妖怪兎達には思い当たる節があるらしい。
「隠すな。こっちは確信があってきたんだ。で、その目的を確かめる為に来た」
「………」
草野は俯き、黙りこくっていが、やがてゆっくりと腰を落とし。
「今、美雪様にバレる訳にはいかない」
そう呟き、腰を捻りながら左腕を肘の高さまで上げていく。
しまった。俺は自分の失態に気づいた。臆病な兎達の事、ここで強めに言っておけば未然に防げるものと思っていた。こんな風に、俺を消しにかかるパターンを考えていなかった。
「ここで黙って帰ってもらう……としても、あんたは俺達の事を美雪様に報告する……」
「……どぅ、どうだろうね? まだ言質取ってないし、ここで無傷で返すなら不問て事もあるんじゃないかな」
「隠すな。そっちは確信があって来たんだろうが」
立場が逆転している。俺は観念してTシャツの裾を捲り、右手を腹に添えて刀を引き抜いた。腹を決めて抵抗して、隙を見て逃げ出そう。
「悪いが、今年いっぱい監禁させてもらう。命まで取る気はない」
「信じられんなぁ」
「俺としても不本意だ。こんな真似」
「俺としては予想外だったよ。こんな展開」
「行くぞ。刀の妖怪」
「九十九神だ、覚えとけ」
俺の言葉に笑った草野。彼はガクリと膝を曲げ、そして膝のバネを一気に開放。俺へと低い体勢で突っ込んできた。
俺は少しだけ後ずさりながら、刀を中段に構える。刀を持つ俺と、鉄腕とは言え素手の草野。そもそもの体格もこちらが上である以上、リーチの有利はこちらが持っている。こうして刀を前に突き出していれば、通せんぼになる。
だが草野は、それを効率的かつ粗暴な手で攻略してきた。
草野は肘の高さに曲げていた左の鉄腕を、下から上へ、全身の力を総動員させて振り上げた。
アッパーと言うには、あまりにも技術のない。それこそ左腕を一本の棒きれ、棍棒のように奮ったに過ぎない。だが、それが前に突き出していた刀を弾き飛ばした。
自分から見て、刀が左側へと弾き飛ばされる。間を置かずに、裏拳気味に鉄腕を振るおうとしている草野を見て、俺は慌てて後方へ跳んだ。
顔面を狙った裏拳が、俺の眼前を横切る。俺は刀を横薙ぎにして牽制しながら、そのまま後ろへ下がって距離を取る。
息を吐き、チラリと刀を見る。刃が欠け、刀身にヒビが入っていた。
「………」
鉄腕が当たる瞬間、刀を返してしっかりと刃で受けたはずだったが、それでもこの損傷か。俺は戦慄した。そんなものを俺の横面目掛けて打ち込もうとしたのか。俺は腹が立った。
草野は俺を睨みながら、また無言で先程の構えを取る。
思い出した。彼が起こした三年前の事件の惨状を。壁は砕け、車のバンパーは押し潰されたようにへしゃげ、標識はくの字に折れ曲がる。あの惨状は、全て神が作ったあの鉄腕によるものだったか。
草野は息を鋭く吐きながら、またも真っ直ぐに飛び出した。シンプルでストレート、故に速い。俺はまだ、まともな対策も講じれていなかった。再び刀を前に突き出し、刀を弾かせてその場を凌ぐ。
手首から肩にかけて生じる衝撃と、陶器を割った時のような音。振るう横薙ぎ、刃先のない刀は草野に届かなかった。
折れてたか。横薙ぎに怯む事なく前に出る草野、振り上げた鉄腕を、俺の頭頂部目掛けて振り下ろしてくる。
やばい。俺はとっさに左手を刀身が半分になった刀に添えて、刀を横に倒して前に頭上に掲げる。そして、まともにその鉄腕を受け止めた。
受けた瞬間。眼の前で何かが爆発したかのような衝撃と火花が俺を襲った。
頭が地面に吸い寄せられるようにすっ飛び、反対に両足は上空に跳ね上がる。鉄腕を受け止めきれなかった俺は回転するように地面に叩きつけられた。
地面に叩きつけらた衝撃に、肺が縮み息が口から溢れる。視界が点滅するも、意識が頭の外へと弾き出されそうになるのを、俺はどうにか抑える。
見てみれば、草野は地面に寝る俺に向かって左腕を振り上げていた。
俺は額に押し付けられていた両手を地面に叩きつける。反動で地面から離した両足を曲げて草野の腹部に滑り込ませ、そして一気に蹴り飛ばした。
草野の小さな体は後方に飛び、地面を転がる。俺は咳き込みながらもその隙に立ち上がった。
地面をゴロゴロと転がっていた草野の体は、木に体をぶつけてようやく止まる。彼は舌打ちしながら立ち上がり、呻いた。
俺は折れた刀を体内に戻し、新たに刀を引き抜く。そんな俺を、草野は体に着いた土や落ち葉を払いながら睨んでいた。
「………」
二度三度、肝を冷やしたが、しかし……これで分かった。草野という、神の腕を持った類稀な妖怪兎。彼の弱点。
俺は変わらず、中段に刀を構えた。それを確認した草野は頷き、またも同じ構えを取る。
先手を取ったのもまた、草野だった。前に飛び出す草野。先程と同じ展開。
ただ違ったのは、彼が振るった鉄腕が俺の刀を弾かず、空を切った事だ。
俺は刀の刃先を、さっと下に落として鉄腕をやり過ごした。そして空を切って大きく体勢を崩した草野との間合いを詰め、勢いを殺さず体当たりをかました。
草野は俺の体当たりに肩口で受け、呆気なく姿勢を崩す。そのまま地面に倒れてしまう。
俺はそれを追わず、息を整えながら刀を構え直した。
やはり、思った通りだ。草野雹、あの妖怪兎は神に与えられた鉄腕を奮うだけしか能がない。
製鉄の神に与えられた鉄腕。あれは確かに強力無比、俺の刀では太刀打ちできない代物だった。だが、それを武器にする草野の技量は稚拙そのもの、ただブンブンと振り回すだけ。
それもそうだ。彼は元はと言えばペットとして飼われた兎、まともなパンチの仕方さえ知る機会もなかったのだ。
同様に駆け引きも知らない。敵が死にかかったのに同じ戦法を取った、そこに罠があるかどうか疑うこともないし、ただ愚直に飛び込む事でしか戦えない。
オマケに体格も恵まれてない。俺の蹴りで簡単に転げ回る程度の体格だ。
「………」
草野は左腕を前に突き出し、腰を落とした。先程とは違う構え、しかし底は知れた。俺は無造作に刀を捨てながら、間合いを詰めた。
「うお……っ!?」
草野は声を上げ、左腕を手元に引っ込め、そして飛び出しながらその腕を振り付けた。
俺は背を丸めながら草野の懐に飛び込み、草野の顎を右で打ち抜いた。
草野は左腕の勢いを殺せず、半回転しながら地面に倒れた。
彼の顔を確かめる。彼は虚ろな目線でこちらを見ながら、身を起こそうとしていた。
「止めとけ。顎を打たれたんだ」
俺は彼を見下ろしながら言った。
「こっちは戦後、拳闘で稼いでいた身だ。そんな大ぶり、来ると分かってれば当たらな……えっ」
得意げに語っていたら、草野に足首を掴まれた。そして万力のような力で、彼の銀の腕は俺の足を締め上げる。
「ちょっ……あーだだだだ! 待て待て待て待て!」
草野は俺の足にしがみ付こうとしているのか、掴んだ左腕を起点にうつ伏せになる。しかしそれが精一杯で、立つ事ができない。その代りに、掴んだ左腕は尚も力が増していく。流石神の拳、脳が揺すぶられた直後にここまでの握力を発揮できるとは思わなかった。
俺は痛みに声を上げ、刀を首筋から引き抜き、掴まれている鉄腕に叩きつける。しかし、足首を絞められてまともに力も入らないせいか、ガンガンと音を立てるばかりで、どうにもなりそうにない。
かと言って、ここまで弱った相手を殺す訳にもいかない。俺は喚き散らしながら刀を草野の鉄腕に叩きつけていく。
「……雹っ! もう止めなさい!」
そんな時だ。横合いから誰かが飛び出て、枯れた声で叫んだ。
見れば、浴衣を着崩し、水浸しになった高校生ほどの娘が、息も絶え絶えと言った様子で立っていた。
いや、あの子は……望美雪の娘、望白雪だ。とすると、彼女はアレは水ではなく汗なのだろう。それに良く見れば、額には冷えピタと思わしきものを貼っている。
「おじょ……さ……」
「ムラマサさんも、これ以上は止めて下さい!」
「何で夏場にあんたが……って痛い痛い痛い……っ!」
昏倒した草野が握った手を放せるようになったのは、それから五分程経ってからだった。
元を正せば、今回の一件は兎達の反乱ではなかった。
が、隠されていた事はあった。山の主、大妖怪の望美雪に隠れて、その娘の白雪は密かに東京に繰り出そうと企んでいたらしい。
しかし、常に母親が目を光らせている状況下で自分が動くのはリスクが高いと考え、彼女は妖怪兎達に上京の手はずを整えさせていた。
望美雪の部下である妖怪兎達は、彼女にこの事がバレるのを酷く恐れた。そこで、夏場のみ、その準備をするという事になり、数年に渡って計画を進めていたらしい。
「……で、今回の騒動になった訳だ」
「なるほどねえ……」
夏が終わり、半袖の人間がいなくなる秋の半ば、俺は望美雪に連絡を取り、例の公園で報告をした。
「結局、そこまで心配をする事じゃあなかった訳だな」
「そうかしら、私を差し置いて娘の命令に従うあの子らに、思わないところがあるけど?」
彼女はそう言いながら、公園のベンチでアイスを食べている。俺はそんな彼女の横顔を見ながら、言った。
「……の割には、妙に楽しげじゃないか?」
「もちろん」
彼女はアイスを口に運び、笑みを浮かべた。
「私に喚くだけじゃなく、部下を使い計画を考え、道半ばながら行動をしていたあの子らの成長を喜ばない親はいないわ」
そんなもんかね。俺はそう言いながら、空を見上げた。あの入道雲が伸びる夏の空と打って変わって、雨が滴る灰色の空が広がっていた。屋根付きのベンチから見える景色に、遊ぶ子供達の姿はない。
「……で、仕置はしたのか」
「私にバレた以上、当然よ。とは言え、また何か企んでいるかもしれないけど」
と、彼女は何かを思い出したように、俺の方を見る。
「そうそう。雹なんだけでね、貴方何か言った?」
「何かって?」
「あいつ、私が起きるなり、下界のボクシングジムに通わせてくれって土下座してきてね。あんまりに熱心に言うから、了承したけど」
「まだ強くなるのか……別に良いけど」
「それに便乗して、白雪もアイドルの候補生が集まるジムに行きたいとか言ってたっけ」
「夏にいなくなるアイドルねぇ……」
有りなのか? 俺はそんな事を呟きながら、首を回す。ゴキゴキと骨の鳴る音がして、くたびれた自分の姿が嫌でも思い浮かぶ。
「……ま、平和そうで良かった」
「全くね……あ、よっこらしょ」
彼女はそう言って、食べ終わったアイスをゴミ箱に捨てる為に立ち上がった。
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