この物語にスキル一覧やステータス画面、ウィンドウといったゲーム的演出はない。しかし、自称「しがない魔法使い」の言い回しはゲームのそれだ。マジック・ザ・ギャザリングをご存知の読者なら、きっとクスリと出来ることだろう。
個人的には、まるでゲームの舞台のごとく好き勝手される異世界や、伝説をなぞることの意味などについてもう少し詳しく聞きたかったが、MTGの背景に思いを馳せて好きに解釈したほうがいいのだろう。
目が覚めると異世界、しかし自分には記憶が無く……スタンダードだが、違和感を孕んだ始まりから謎の少女、ひょうひょうとした自称しがない魔法使いに引っ張られ、主人公の正体にちょっと驚いた。巻き込まれた異世界の方はたまったものではないが、こちらの世界にとっても厄介な問題らしい。異世界転移問題について、どういう扱いなのかもっと実情を詳しく知りたいところだ。
あと妖精さんは可愛いのでもっと見たかったりする。何事も腹八分目とは言うし、コンテスト二万文字制限の中では充分な詰め込み具合というところでしょうか。