7.
変わったよね、とあらためていわれるとそうかもしれないと再認識した。
根底にあるものは変わらず抱き続けているはずだが些事にこだわらなくなったといえばいいかもしれない。べつに素行に問題があるわけでもないし、友達付き合いもかわらないはずだった。
しかし、どこかに違和感があった。そのなにかがわからないまま、日常を過ごしていた。
以前わたしを心配、というにはすこし違うかもしれないが、気遣いを見せてくれた友人がふたたびお茶に誘ってきた。またなにかをいわれるんだろうな、と身構えた。その予感はたぶん正しかった。
おかしいよ、告げられたのはひどく端的な一言だった。
それでもわたしは逆上することはなかった。わたしのことを非難されているはずなのに、その背後にある人物に向けられたように他人事に感じてしまっていた。それでもひどい、どこが、と苦笑しながら問い直すと、そういうところが、と返答があった。わたしはいささか混乱した。
彼女は自分のぶんのカフェオレを飲み終えると支払いは持つからちょっと考えてみて、と伝票を持ってさっさと去ってしまっていた。どこか哀れみをにじませながら。
わたしはひとりキャラメルマキアートをすすりながらほろ苦さをかんじていた。揺れる茶色の液面をながめながらぼんやりと思った。
変わったのだろうか。わたしは。
自分のことなのにひどく現実感がなかった。
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