第55話 どっちも?

夢のような動物病院のお泊まりは、あっという間に終わった。楽しい時間はいつも短い。


たくさん遊んで、たくさんおやつをもらって、たくさん寝た。

朝ごはんを食べなくて、お皿を下げられてしまってお腹がすいた。

たくさんのトモダチに会った。


あぁ、いい時間だったなぁ。




そして、迎えにきてくれたにいちゃんと再会を果たした。



よっ。元気そうだなにいちゃん。

「シロ〜。会いたかったよ〜」


「シロくん、ずっと元気に過ごしてましたよ〜」

看護師さんがにいちゃんにおれの夢の日々を説明している。

まぁな。毎日遊びまくったな。


にいちゃんが病院の人に何度もお礼を言って、そのあと車で帰ったんだ。


「家族が増えて、シロが帰ってきて、賑やかになるなぁ〜」


久しぶりに帰る家はどんなかんじかな。

あ。確かねぇちゃんがお腹痛くなってその後どうだったんだっけ。

家族が増えたんだな。そうかそうか。それは楽しみだな。



「さぁシロ。家に着いたぞ〜」




ガタゴトと運ばれた後に、どん、と床に置かれた音がした。にいちゃんがドアを開けてくれた。久しぶりの家の空気は、少し懐かしいかんじがして。

でも、いつもの空気で、その、”いつも” が嬉しいと思う。



”いつも” ってたいせつ。



そこには。



「おかえり〜。シロ久しぶり〜!」


ねぇちゃん! お腹凹んでるじゃん。中身出たんだな!



「すやすや……」

お! ねぇちゃんに抱っこされてるのはなんだ? なんかいる!



「シロ〜! シロ〜!」

誰!?







確かに家族が増えていた。


ねぇちゃんに抱っこされてるのがおちびで、さっき、誰!? って思ったのがねぇちゃんのお母さん。つまりばぁちゃんだった。



ところでねぇちゃん、おちびとばあちゃんどっちがねぇちゃんのお腹から出たんだ?



どっちも?

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