ホシの記憶を観る
一人目を殺して取り込んだ。その一人目は、自分の居る場所から少し先で鈍く輝く光となっていた。私はその光に波長を合わせる。
「い、嫌だ! 死にたくない!」
目の前でナイフを持ったホシに迫られていた。死んだ目の中で鈍く光る殺そうとする光は、彼に見えていたのだろう。
「出してくれ! なんでもする! 出してくれ!」
その慌てふためくさまをずっと真剣に見続ける研究者達。そして――
「うあっ! ……あ……そん……な――」
恨めしい顔で研究者達を睨みながら、彼はそのまま死に絶え、ホシの精神空間に取り込まれる。
取り込まれた彼の体は、数週間の間そのまま原型を整えていたが、次第に光へと変わっていく。
内部に取り込まれたものは、その精神空間でゆっくりとエネルギーとして消えてゆく。
残りかすとなったモノは、鈍い光となって、彼の記憶をそのまま保存し続ける。
一人目の彼がエネルギーとして無くなり、光となる頃。研究者達は座り込んで動かないホシを観ながら、盛大な拍手をしていた。
「やったな! 成功だぞ!」
そんな彼らがホシのいる場所の前で全員揃った時、異変が起こる。
「キィイィイイイイヤアァアアアー!」
ハッとする研究者達は、ホシの状態をモニター越しに観ていた。
「そんな馬鹿な! こんなことになるとは!」
彼らの使っている使用端末がホシの精神空間の異常を探知していた。ホシは発狂していたのだ。
「早急に例の実験を進めるぞ!」
そうして、私への実験が始まった。私はホシの永続的なエネルギー回路の様に改造されていたらしかった。
そして私はホシに殺された。そのエネルギーとなった私への実験は成功だった。
そして、彼ら研究者達は感極まってホシの元へと全員集まった時、想定していなかったホシの力具合の変化により、皆殺されたのだ。
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