さらに思い出す

 ホシは、不老不死の実験をされていた。その器として、女性が向いてた。ただそれだけの理由だ。

 私よりも早く被験体になり、そして人間一人をホシの精神空間に閉じ込め、そのエネルギーでホシは不老不死となり生きながらえる。

 そういう実験だった。だが、この実験には致命的なミスがあった。他者を殺して取り込み続けなければ、やがて発狂し死に至る。

 そんな結果に満足のいく研究者達ではなかった。私とホシが会う前日。私の体は決して無くなり切らないエネルギーとして改造された。

 ホシはその私を観ても、もうまともな精神状態では無かった。直ぐに私を殺し取り込んだ。

「成功だぞ! どうだ! 発狂しないぞ!」

 歓喜の音頭が聴こえる。しかし、そこにたまたま全員揃っていた研究者達を、ホシはあり得ない力で殺し尽くした。

 私を取り込んだことで、ホシの人間としての力が限度を超えてしまったのだ。静かになったその場所で、研究所の科学者達は全てホシに取り込まれた。

「た……足りな……い……」

 ホシは研究所から脱走し、そして人を殺すために毎夜街へ出掛けては殺して取り込んでいた。

 私は、ホシの内側から聴こえてくる様々な絶叫を聴いた。そして、私はとある能力が備わっていることに気が付いた。

 研究所の者達がここで朽ちてから小さな光となって鈍く光っているその場所に、私は空間を作ることが出来た。

 そこで、ホシに殺されたはずの者達が人の形をとって動き回っている。意識もあるようだった。

 私は闇の審問と題して、彼らをホシの外へと出せないかと考えた。そして私の考えることが、ここで具現化されることを知った。

 私は、闇の審問を繰り返すうちに、いつしか闇そのものへと心が染まっていった。だがその時、なぜ自分が彼らを救えるのか?

 その意味は分からなかった。

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