仮面ライダーは巨大戦にも対応できる

 勇助ゆうすけと3人の乃々ののの必殺技により、十文字じゅうもんじは倒された。


 決着はついた。


 その時……。

 

勇助ゆうすけさん、乃々ののさん! 今すぐその場を離れてください!!』


 文字るもじるドライバーどらいばー天音あまねから通信が入る。


天音あまねさん?」


強制暴走装置きょうせいぼうそうそうちが異常なまでに発熱しています! このままでは大爆発する恐れが……! とにかく脱出を!!』


 見ると、天音あまねの言うとおり、強制暴走装置きょうせいぼうそうそうちからバチバチと火花が上がっている。


 天音あまねの慌てっぷりに、これは異常だと判断した勇助ゆうすけ乃々のの達は、すぐさま研究所を脱出した。






 乃々のの達が屋外に脱出したのとほぼ同時に、十文字じゅうもんじの研究所は爆発した。


 轟く爆音、燃え上がる炎、立ち上る黒煙。


「ぎ、ギリギリだったわね」

「皆大丈夫? 怪我してない?」

「なんとか……」


 安堵する乃々のの達。ほっとひと息つく3人。

 



 だが、3人の安心はすぐに破壊された。




 爆発した研究所から、何かが現れる。


 それは、十文字じゅうもんじ扮する黄金のモジシャンもじしゃんだった。


「な、なにあれ……」

「嘘でしょ」

「勘弁してよ……」


 あれだけの攻撃を受けたのにまだ倒れないのかとか、往生際が悪いとか、そんなこと乃々のの達は一切思わなかった。


 彼女らが頭に浮かんだ言葉は、ただ1つ……




「「「でかい……」」」




 だった。


 黒煙の中から現れた黄金モジシャンもじしゃんは、巨大だったのだ。


 その大きさ、約45メートル。キングダークよりちょっと大きい。


「素晴らしい……! 力が溢れてくる……やはり私は天才だ!!」


 巨大になった十文字じゅうもんじが歓喜の声を上げる。

 反対に乃々のの達は不安な声を出す。

 

「あんなの、倒せるの……?」

「で、でもやるしかないわ」

「そうね。4人で力を合わせて……あれ、勇助ゆうすけは?」


 1人の乃々のの勇助ゆうすけのいないことに気付く。

 3人は辺りを見回すが、彼の姿はどこにもない。


「もしかして、研究所に取り残されたんじゃ……」

「まさかそんなこと……」

「1人で逃げたなんてことは?」

「それ本気で言ってるのなら、あんたは私じゃないわ」

「冗談よ、本気にしないで」

勇助ゆうすけのことだから、何か考えがあって姿を消したに違いないわ」

「だったら、私達がやるべきことは……」


「「「勇助ゆうすけが来るまで、時間を稼ぐ!!」」」


 乃々のの達はそれぞれの武器を握り締める。


「行くわよ私達!」

「オッケー!!」

勇助ゆうすけ、あなたが来る前に倒しちゃったらゴメンね!!」


 そして意を決して、3人は巨人に突撃をした。




 しかし。


 巨大な敵を相手にする場合、それ相応の力もしくは作戦が必要だ。


 何の策も無しに、突撃した乃々のの達が勝てるわけが無い。


 巨大十文字じゅうもんじの攻撃に、あっさり吹き飛ばされてしまう。

 

 いや、攻撃ですらなかった。人間が蝿を振り払う行為を攻撃とは言わない、そういうことだ。

 

「ちょ、やっぱ無理無理無理無理!」

「大きさ違いすぎるもん!!」

「昭和ライダーって、どうやってキングダーク倒したんだっけ?」

「知らない」

「昭和ライダーは世代外」

「だよねー」

「こんなことなら、東映特撮ファンクラブで昭和ライダーも見ておくんだった……」

「仮面ライダーブレイブ見た後にすぐ解約したもんね……」

「あーもう! だいたい敵が巨大化ってなによ! 今まで仮面ライダー路線でやってきたのに、ここにきてなんでスーパー戦隊路線になるのよ!!」

「助けてキュウレンジャーぁ!!」

「この際、会社違うけどウルトラマンでもいいからぁ!!」 

 

 ほとんどヤケになる乃々のの3人。



 その時だった。



 ドシンドシン、と大地が揺れる。

 

 この揺れは地震とは異なる。

 巨大な何かが大地を踏みしめながらこちらに向かってくる揺れ、つまり足音だ。


 乃々のの達は足音のする方を、山の方を見る。


 すると山の陰から、足音の主が現れた。


 それは、黄金モジシャンもじしゃんと同じ大きさの、水色の巨人だった。


 水色と言うより、透明と言った方が正しいのかもしれない。巨人の身体が透けて、向こう側が見える。


 そしてよーく見ると、水色巨人の肩に勇助ゆうすけが、『流』フォームのモジシャンもじしゃんが乗っていた。


 勇助は巨人の肩から飛び降り、乃々達の近くに着地する。


勇助ゆうすけ、あれって何なの?」


「僕のとっておきのお宝さ。行け、モジシャンもじしゃんJじぇい!!」


「いや、ディエンドのパロディはいいから、ちゃんと説明してよ」

 

「『流』フォームはさ、身体を水に変化させることができるだろ? それって、つまり、水を操れるってことだ。水を操って、Jじぇいを作った。まあ、俺の身体の体積じゃ全然足りないから、湖の水を使っている借りてるけどな」


 勇助ゆうすけがいなくなったのは、湖に行くため。水を集めてモジシャンもじしゃんJじぇいを作るため。


 よーく目を凝らして見ると、勇助ゆうすけと巨人は、1本の細長い管で繋がっている。


「あ! もしかして、ネットで噂になってた海坊主って……」

「夜中に海でこっそり練習してたのを、誰かに見られてたみたいだな」


「最近勇助ゆうすけが太ったのって……」

「ちょっと身体に海水が混じってな」


「そういうことなら、私達にも声かけてくれればいいのに……」

「いやぁ。皆をビックリさせようと思って秘密にしてたんだ、悪い悪い」

 

 なんにせよ、勇助ゆうすけのお陰で巨大モジシャンもじしゃんと対等に戦うことができるようになった。


 勇助ゆうすけモジシャンもじしゃんJじぇいを操作し、

十文字じゅうもんじに応戦する。


「行っけー!」

モジシャンもじしゃんJじぇいー!!」

「巨大化は負けフラグってことを教えてやりなさいー!!」


 モジシャンもじしゃんJじぇいを応援する3人の乃々のの


 Jじぇいのパンチやキックが巨大十文字じゅうもんじに炸裂する。


 乃々のの達の小さな攻撃よりは、相手にダメージを与えられているもよう。


 だが。


「たかが水ごときにぃ! この私が負けるかぁ!!」


 ――ピリオド、ストライク!!――


 十文字じゅうもんじ文字るもじるドライバーどらいばーの青いボタンを押し、必殺技発動。


 エネルギーを右拳に溜め、Jの顔面におみまいした。


 そのパワーにJは吹き飛ばされる。


 それだけではない。


 今の攻撃で、Jじぇいの顔が無くなった。


「「「Jじぇい!?」」」


「大丈夫だ」


 慌てる乃々のの達に、勇助ゆうすけが言う


Jじぇいは俺が動かしている水。生き物じゃない、だから死なない」


 勇助ゆうすけが体にグッと力を込めると、にゅるっとJじぇいの頭が首から生えてきた。


「だけど高熱には弱い。今みたいな攻撃を何度も喰らったら、やばい」


 よく見ると、Jじぇいの身体が少し小さくなっている。水の体積が減った証拠だ。


Jじぇいが完全に消える前に、何か作戦を考えないと。あの十文字じゅうもんじが、もう1度Jじぇいを作る隙をくれるとは思えないからな」


「……安心して、勇助ゆうすけ


 1人の乃々ののが、ノガタナのがたなを持った乃々ののが呟く。


「見つけたわ、あのでかぶつを倒す方法」


 その顔は、自信に満ち溢れていた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 登場人物情報が更新されました


佐倉さくら乃々のの

 19歳。女性

 ミスコンで銅賞を貰えるほどの容姿を持つ。

 彼氏持ち。

 3人に分裂。

 赤いモジシャンもじしゃんに変身する。

 文字石もじいしは『く』『ノ』『一』


 スーパー戦隊も見ている。


 好きなライダーは、仮面ライダー電王(超クライマックスフォーム)



江角えすみ勇助ゆうすけ

 19歳。男性

 乃々ののの彼氏。

 青もしくはオーシャンブルーのモジシャンもじしゃんに変身する。

 文字石もじいしは『幾』と『流』


 秘密の特訓により、モジシャンもじしゃんJじぇいを召喚できるようになった。


 好きなライダーは、仮面ライダーディケイド(通常形態)。



かん一了かずあき

 40代。男性

 ワードカンパニーわーどかんぱにー社長。

 白のモジシャンもじしゃんに変身できる。

 文字石もじいしは『散』


 好きな仮面ライダーは、仮面ライダー2号。



草垣くさがき天音あまね

 18歳。女性

 ワードカンパニーわーどかんぱにーの秘書。


 好きな仮面ライダーは、仮面ライダーレーザー(バイクゲーマーLv.2)



十文字じゅうもんじたいら

 40代。男性

 文字るもじるドライバーどらいばーの開発者。

 黄金のモジシャンもじしゃんに変身する。

 文字石もじいしは『創』と『壊』


 巨大化した。

 

 好きな仮面ライダーは、仮面ライダーデューク(レモンエナジーアームズ)


 

佐々木ささきじん

 29歳。男性。

 黒もしくは灰色のモジシャンもじしゃんに変身した。

 文字石もじいしは『伊』と『止』


 プロトぷろと文字るもじるドライバーどらいばーを破壊され、戦線離脱。


 好きな仮面ライダーは、仮面ライダーナイト



佐々木ささき奈央なお

 享年20歳。女性

 佐々木ささきじんの妹。

 マゼンダ色のモジシャンもじしゃんに変身した。


 プロトぷろと文字るもじるドライバーどらいばーの欠陥により、死亡

 あの世から皆を見守っている。


 好きな仮面ライダーは、仮面ライダーオーズ(ガタキリバコンボ)

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