ツインマキシマムは危険

「来い、キーメイス!!」

「おいで、ノガタナ達!!」


 それぞれのカタカナを呼び出す勇助ゆうすけ乃々のの


「ノガタナ達、か……。佐倉さくらくん、君の文字石もじいしは『乃』ではなく『女』だったのだから、メガタナに改名したらどうかね? 『メ』の刀で、メガタナ」


「お断りします」


 今までずっとノガタナで通ってきたのだ。

 愛着もある故、今更名前を変えるのもなんだか嫌だ、そう思う乃々のの


 それと敵である十文字じゅうもんじの意見を聞き入れるのも癪だと、乃々ののは思ったのだ。


 勇助ゆうすけは鈍器で、乃々ののは2刀流で応戦する。


 2人の攻撃を軽くあしらう十文字じゅうもんじ


乃々のの! 同時攻撃だ!」


「了解っ!」


 ――テンサク、フィニッシュ!!――

 ――テンサク、フィニッシュ!!――


 ドライバーの青いボタンを押して、必殺エネルギーを溜める乃々のの勇助ゆうすけ


「キーボンバー!」

「せいはー!!」


 エネルギーを溜めに溜め、2人は同時に攻撃をする。


 だが。


「無駄だ」


 十文字じゅうもんじは彼らの渾身の一撃を、腕だけで受け止めた。


 右手で勇助ゆうすけのキーメイスを、左手で乃々ののの2本のノガタナを、それぞれ片手だけで止めたのだ。


 十文字じゅうもんじはそのまま2人を投げ飛ばす。


 壁に衝突する乃々のの勇助ゆうすけ


「だったら!」


 勇助ゆうすけは『流』文字石もじいしのブレスレットを手首に嵌める。


「大、変、身」


 ――トメル! ハネル! ハラウ! レッツ、カキトリ!!――


「来い、ルピック!!」


 赤いボタンを押して『流』フォームにチェンジした勇助ゆうすけは、ルピックを呼び出す。


 ――テンサク、フィニッシュ!!――


 そのまま青いボタンを押す勇助ゆうすけ


 彼は身体を液状化させて、十文字じゅうもんじを取り囲む。


 そして勇助ゆうすけはつるはしで攻撃しようとした。


 しかし。


 十文字じゅうもんじは地面に手をつける。

 そして『壊』の能力で土の分子配列を破壊し、『創』の能力で再構築。壁を作って勇助ゆうすけの攻撃を防いだ。


 十文字じゅうもんじとの距離を取って、態勢を立て直す勇助ゆうすけ

 そしてその隣に並ぶ乃々のの


「『流』でもダメか……。万事休すだな」


 ノガタナもキーメイスもルピックも通じない今、なす術が無くなった。勇助ゆうすけはそう思った。彼は若干諦めかけていた。


「これなら、どうかしら?」


 だが乃々ののは違った。まだその眼から闘志は消えていなかった。


 ――テンサク、フィニッシュ!!――


 青いボタンを押す乃々のの


「もういっちょ」


 ――テンサク、フィニッシュ!!――


 なんと乃々ののはもう1度、必殺技発動ボタンを押した。

 さながら、仮面ライダー電王劇場版でモモタロスがフルチャージを2回行ったように。


「なるほど、その手で来たか。佐倉さくらくん、やはり君は、一了かずあきが言ってたとおり、戦いの天才だね」


「それはどうも」


 ――ピリオド、ストライク!!――


「では私も応えようか」


 十文字じゅうもんじも青いボタンを押して、エネルギーを溜める。右拳に必殺エネルギーを蓄積させる。


 そして攻撃を繰り出す2人。


 ぶつかり合う2つの力、刀と拳、斬撃と打撃。


 この勝敗、優勢なのは……。


「きゃあっ!!」

乃々ののっ!」


 十文字じゅうもんじの方であった。

 黄金モジシャンの拳に、乃々ののはノガタナ共々、後方に吹き飛ばされる。


 当然といえば当然だった。


 黄金モジシャンのパワーは従来の4倍。

 たとえ2回チャージを行った所で、その差が無くなるわけではない。


「ふー。今のはなかなか効いたよ」


 左手で右拳を擦る十文字じゅうもんじ。口ではこんなことを言っているが、まだまだ余裕が感じられる。


「くっ……」


 ノガタナ達を杖代わりにして、フラフラになりながらも乃々ののは立ち上がる。


「よく立ち上がった、と褒めてあげたいところだが……残念だが、佐倉さくらくん。君はここでリタイアだ」


「なんですって?」


「仮面ライダーWでフィリップが言ってただろ、『ツインマキシマムは危険だ』ってね。文字もじるドライバーも同じさ。2連続チャージは確かに爆発的な力を生み出すが、その負担も大きい。ダブルドライバーの場合は使用者の肉体に負荷が掛かるが、文字もじるドライバーの場合は、文字石もじいしに負荷が生じるのさ」


 文字石もじいしに負荷。


 その言葉を聞いて、ハっとした乃々ののは自分のペンダントを、『女』文字石もじいしを見る。


「ヒビの入った文字石もじいしが2連チャージに耐えられるわけがない。佐倉さくらくん、君の文字石もじいしはもう終わりだ」


 乃々のののペンダントのヒビが大きくなる。


「石が砕ければ、君はモジシャンにはもう変身できなくなる。……いや、それだけじゃない。『女』が壊れれば、君は完全な男になる」


 どんどん、どんどん傷が広がる。



 そして。



 とうとう。



 ペンダントは砕けた。



『女』文字石もじいしは割れたのだ。



乃々のの!!」


「さようなら、女性モジシャン・佐倉乃々さくらのの

  


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 登場人物情報が更新されました


佐倉乃々さくらのの

 19歳。中性

 ミスコンで銅賞を貰えるほどの容姿を持つ。

 彼氏持ち。

 赤いモジシャンに変身する。

 文字石もじいしは『女』


 本当の性別で男で、『女』文字石もじいしによって性転換していた。

 

 彼女の持つ『女』文字石もじいしは、割れた。


 好きなライダーは、仮面ライダー電王(超クライマックスフォーム)



江角勇助えすみゆうすけ

 19歳。男性

 乃々ののの彼氏。

 青もしくはオーシャンブルーのモジシャンに変身する。

 文字石もじいしは『幾』と『流』


『流』フォームで応戦するが、十文字じゅうもんじには効かなかった。


 好きなライダーは、仮面ライダーディケイド(通常形態)。



漢一了かんかずあき

 40代。男性

 ワードカンパニー社長。

 白のモジシャンに変身できる。

 文字石もじいしは『散』


 好きな仮面ライダーは、仮面ライダー2号。



草垣天音くさがきあまね

 18歳。女性

 ワードカンパニーの秘書。


 好きな仮面ライダーは、仮面ライダーレーザー(バイクゲーマーLv.2)



十文字平じゅうもんじたいら

 40代。男性

 文字もじるドライバーの開発者。

 黄金のモジシャンに変身する。

 文字石もじいしは『創』と『壊』


 乃々のののツインチャージもあしらう。

 

 好きな仮面ライダーは、仮面ライダーデューク(レモンエナジーアームズ)


 

佐々木仁ささきじん

 29歳。男性。

 黒もしくは灰色のモジシャンに変身した。

 文字石もじいしは『伊』と『止』


 プロト文字もじるドライバーを破壊され、戦線離脱。


 好きな仮面ライダーは、仮面ライダーナイト



佐々木奈央ささきなお

 享年20歳。女性

 佐々木仁ささきじんの妹。

 マゼンダ色のモジシャンに変身した。


 プロト文字もじるドライバーの欠陥により、死亡

 あの世から皆を見守っている。


 好きな仮面ライダーは、仮面ライダーオーズ(ガタキリバコンボ)




 


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