最終章 最終決戦

蛮野のごとく、この先絶対に誰も「ゴルドモジシャン」とは呼ばない

「ここね、十文字じゅうもんじのアジトは」


 乃々のの勇助ゆうすけは、町外れの廃棄された科学研究所に来ていた。

 人間に戻ったかん社長の話によると、この研究所が十文字じゅうもんじの隠れミノらしい。


 ちなみに、佐々木仁ささきじんのアジトとは別の場所なのであしからず。


「よしっ、いくぞ!」


「最初から最後まで」


「クライマックスで!」


「「イエイ!」」


 勇助ゆうすけ乃々ののはハイタッチをして士気を高め合う。

 そしてラスボスのアジトに乗り込んだ。






「どこだ十文字じゅうもんじぃ!」

「出てきなさい!!」


 研究所内のドアを蹴り開ける乃々のの達。

 テンションの上がった2人はヒーローというより、チンピラだった。


「ここか!?」


 会議室。十文字じゅうもんじはいない。


「ここね!!」


 食堂。いません。


「じゃあここか!」


 事務所。ハズレ。


「今度こそ!!」


 トイレ。ラスボスがこんな所で待ち構えているわけがない。


 ドアを蹴り破りながら、2人は施設の最深部に到達する。


 怪しげな装置。散らばったレポート用紙。ピコピコ光る電子機器。

 まさに研究室という名が相応しい部屋だった。


 そして部屋の中央には……近代的なデザインの、いかにも重要そうな機械が設置されていた。


「何かしら、このマシン」


 乃々ののが1歩、その装置に近づいた。


 その時だった。


「? ペンダントが……」


 乃々ののの『女』ペンダントが、ブルブルと震えだしたのだ。


「……俺のもだ」


 勇助ゆうすけの『幾』ペンダントも震えだす。

 いや、『幾』ペンダントだけではない。彼のポケットに眠っている『流』ブレスレットも振動している。


「……」


 ふと乃々ののはペンダントを機械に近づける。

 すると振動が一層激しくなった。


「やっぱり、このマシンと共鳴している」


「社長の話だと、十文字じゅうもんじは町に散らばった文字石もじいしを集めたがっていた。多分、この機械は、文字石もじいし発見装置だろう」



「残念、違うよ」



 2人の背後からやつの声が、十文字じゅうもんじの声がした。


「この装置は、文字石もじいし強制暴走装置さ」


「「強制暴走装置?」」


 まるで親が愛娘に接するように機械を撫でながら、十文字じゅうもんじは説明する。


「この装置から発せられる特殊な電磁波は、文字石もじいしの力を増幅させる。増幅された力はやがて暴走し、石は文字化もじばけに変身するのさ。さらに文字化もじばけを操れるという便利なオプション付き」


 十文字じゅうもんじのプレゼンを聞いて、乃々のの勇助ゆうすけの頭に血が上る。


「じゃあ、今まで町に出没した文字化もじばけは、全部あんたが原因だったのね!!」

十文字じゅうもんじ、てめぇ……!」


「おいおい、勘違いしないでくれたまえ。まだ私はこの装置を2回しか使っていない。一了に『壊』を埋め込んだ時と、『屍』の文字石もじいしの時だけさ」


 人差し指と中指を、まるで幼稚園児が蟹さんを作るように、くねくねと動かす十文字もじいし。完全にふざけている、2人を馬鹿にしている。


「『屍』……。……! じゃあ、あの文字化もじばけが奈央なおさんを復活させたのは!!」


「ご名答。私が文字化もじばけに命令して復活させた。奈央なおくんゾンビなら、じんくんを無力化できると思ったからね。……まさかゾンビがモジシャンになるとは私も予想外だったが、まあいい。面白いデータが取れたから良しとしよう」


「この外道……!」


「そんなマシン、今すぐぶっ壊してやる……!」


「それは困るな。このマシンで町に散らばった全ての文字石もじいし文字化もじばけに変える。そして全て回収する。そのためにもこれを壊されるわけにはいかない」


 以前、かん社長との戦いで十文字じゅうもんじはこう言った。

 町中に散らばった小さな石を全て回収するのは不可能だ、と。


 だが石ではなく文字化もじばけなら、怪物ならどうだろうか?

 発見するのは格段に容易くなる。


 だから十文字じゅうもんじはこの文字石もじいし強制暴走装置を発明したのだ。

 文字石もじいしを見つけやすくするため、回収しやすくするために。


「そんなことをしたら、町が文字化もじばけだらけになるわ!」

「そうなれば確実に犠牲者が出るぞ!」


「崇高な目的に犠牲は付き物さ。佐々木奈央ささきなおくんのようにね」


「……今の言葉で、お前に対する良心も情けも完全に失せた。もう容赦しない。いくぞ、乃々のの


「オーケー」


 怒りが頂点に達した乃々のの勇助ゆうすけは、文字もじるドライバーを構える。


「やめたまえ。君達の文字もじるドライバーはもはや過去の代物だ。次世代ドライバーを使うこの私に、ゴルドモジシャンに勝てる可能性は、無い」


「やってみなきゃ」

「分からないだろう!!」


 同時にドライバーを腰に装着する乃々のの勇助ゆうすけ


「やれやれ。これだから脳筋は……」


 この2人に口で言っても分からないと判断した十文字じゅうもんじは、次世代ドライバーを装着する。


「変身!」

「変、身!」


 ――トメル! ハネル! ハラウ! レッツ、カキトリ!!――

 ――トメル! ハネル! ハラウ! レッツ、カキトリ!!――


「変身」


 ――トメル! ハネル! ハラウ! レッツ、モジックTIME!――


 モジシャンに変身する乃々のの勇助ゆうすけ、そして十文字じゅうもんじ

 対峙する赤青と黄金。


 最終決戦の火蓋が切られた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 登場人物情報が更新されました


佐倉乃々さくらのの

 19歳。中性

 ミスコンで銅賞を貰えるほどの容姿を持つ。

 彼氏持ち。

 赤いモジシャンに変身する。

 文字石もじいしは『女』


 本当の性別で男で、『女』文字石もじいしによって性転換していた。

 

 勇助ゆうすけと共に十文字じゅうもんじを倒し、装置を破壊するつもり。


 好きなライダーは、仮面ライダー電王(超クライマックスフォーム)



江角勇助えすみゆうすけ

 19歳。男性

 乃々ののの彼氏。

 青もしくはオーシャンブルーのモジシャンに変身する。

 文字石もじいしは『幾』と『流』


 乃々ののと共に十文字じゅうもんじを倒し、装置を破壊するつもり。


 好きなライダーは、仮面ライダーディケイド(通常形態)。



漢一了かんかずあき

 40代。男性

 ワードカンパニー社長。

 白のモジシャンに変身できる。

 文字石もじいしは『散』


 好きな仮面ライダーは、仮面ライダー2号。



草垣天音くさがきあまね

 18歳。女性

 ワードカンパニーの秘書。


 好きな仮面ライダーは、仮面ライダーレーザー(バイクゲーマーLv.2)



十文字平じゅうもんじたいら

 40代。男性

 文字もじるドライバーの開発者。

 黄金のモジシャンに変身する。

 文字石もじいしは『創』と『壊』


 全ての元凶。

 

 好きな仮面ライダーは、仮面ライダーデューク(レモンエナジーアームズ)


 

佐々木仁ささきじん

 29歳。男性。

 黒もしくは灰色のモジシャンに変身した。

 文字石もじいしは『伊』と『止』


 プロト文字もじるドライバーを破壊され、戦線離脱。


 好きな仮面ライダーは、仮面ライダーナイト



佐々木奈央ささきなお

 享年20歳。女性

 佐々木仁ささきじんの妹。

 マゼンダ色のモジシャンに変身した。


 プロト文字もじるドライバーの欠陥により、死亡

 あの世から皆を見守っている。


 好きな仮面ライダーは、仮面ライダーオーズ(ガタキリバコンボ)




 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る