We are モジシャン

 8月23日、朝。


 町に文字化けが現れた。『壊』の、かん社長が変貌した、あの文字化もじばけだ。


 手当たり次第に町を破壊する文字化もじばけ。

 これが十文字じゅうもんじによる命令なのか、己の破壊衝動の表れなのか、分からない。


 だがこの際、理由や原因などどうでもいい。重要なのは、今ここで、起こっていることだ。


 暴れる怪人、逃げ惑う人々、壊れゆく町並み。

 このままでは世界は崩壊する。


 だがこの世界には、戦士が、平和を愛するヒーローがいる。 


「随分派手にやってくれるな」


 暴れる文字化けに近づく1人の影。


 佐々木仁ささきじん、この世界で最初に誕生したヒーロー、モジシャンだ。


「てめえだけか? 十文字じゅうもんじの野郎はどうした?」


 佐々木ささきの質問に、文字化もじばけは何も答えない。


「まあいい。次世代ドライバーは厄介だが……てめえ1体だけなら、俺1人で添削てんさくできる」




「1人じゃありませんよ」




 じんに近づく2人組。


 乃々のの勇助ゆうすけだ。


「どうやら、吹っ切れたようだな、佐倉さくら


「はい。ご心配をおかけしましたじん先輩」


「心配なんざしてねえよ」


「嘘つくなって佐々木ささき天音あまねさんから聞いたぞ。精神的に不安定な乃々ののと俺に気を使って、1人で戦うつもりだって」


「……ちっ」


 バツが悪そうな顔をするじん。そんな彼の隣に並ぶように立つ乃々のの勇助ゆうすけ


「いくよ。勇助ゆうすけじんさん」


 文字もじるドライバーを装着する乃々のの。それに同調するように勇助ゆうすけじんもそれぞれ、文字るドライバーとプロトドライバーを身につける。


「変身!」

「変、身」

「変身」


 ――トメル! ハネル! ハラウ! レッツ、カキトリ!!――

 ――トメル! ハネル! ハラウ! レッツ、カキトリ!!――

 ――START WORDING――


 同時に赤いボタンを押し、変身する3人。


 赤、青、黒の戦士。彼らがこの世界のヒーロー、文字化もじばけから人々を守るモジシャンだ。


「私、参上!」


「通りすがりのモジシャンだ、覚えておけ」


「……」


「ほら。仁さんも決め台詞決め台詞!」


「あ? んなもんねーよ」


「えー、ノリ悪いなぁ」


「無いんだったら、『ねえ、アンク。俺達も何か作ろうか』って言おうぜ」


「バカか。前見ろ、前」


 文字化もじばけが3人に向かってくる。

 モジシャン達もそれに立ち向かう。


『壊』の文字化もじばけの能力は、文字通り破壊。その手に触れた物は全て、粒子に変えられてしまう。


 それを理解していた3人は、敵の手に注意しながら戦う。


 以前の『壊』との戦闘は、乃々のの勇助ゆうすけの2人だけだった。

 そして文字化もじばけの壊す手も2つ。

 つまり。2対2の互角の戦いだった。


 だが今回はじんという仲間が加わり、3対2になった。


 うち2人が左右の手に注意を払い、残った1人が背後から攻撃する。

 3人はこの戦法を取った。


 それは有効な手だった。


 いくら文字化もじばけが強力な能力を持っているとはいえ、その効果があるのは手だけ。2本の腕で、3人相手をさばくのは困難であった。


 3人は着実にダメージを与えていく。 


「あ、そうだ、じんさん。お話があるんですけど」


「あ? なんだ、こんな時に」


「さっき私のこと『佐倉さくら』って呼んだじゃないですか」


「それがなんだ」


「私の苗字、『佐倉さくら』から『江角えすみ』に変わります」


「……は?」


「なので今度から下の名前で呼んでください。苗字だと勇助ゆうすけと紛らわしいので」


「おい佐々木ささきぃ! 俺の嫁を気安く下の名前で呼び捨てにしたら許さねぇからな!」


「戦いに集中しろバカップル!!」


 ――START WORDING――


 2人に説教しながら、『止』フォームにチェンジするじん


「おっ! そんじゃ俺も。大、変、身っ!」


 ――トメル! ハネル! ハラウ! レッツ、カキトリ!!――


 勇助ゆうすけも『流』フォームにチェンジする。


「トトンファー」

「来い、ルピック!」

「おいでノガタナ達!」


 トンファー、つるはし、2本の刀。それぞれのカタカナを呼び出すモジシャン達。


 武器などお構い無しに、文字化もじばけが向かってくる。


「じっとしてろ」


 じんが『止』の呪いを敵にかける。


「相変わらず『止』の力はすげーな」


「この隙にトドメを!」


『皆さん!』


 意気込む彼らに、ドライバーを通じて天音あまねから通信が入る。


『調べた結果、文字石もじいしは社長の右肩に埋め込まれています! そこを狙ってください! 衝撃で文字石もじいしが排出されて、社長は元に戻るはずです!』


「了解っ。乃々のの佐々木ささきいくぞ!」

「はい!」

「ああ」


 ――テンサク、フィニッシュ!!――

 ――テンサク、フィニッシュ!!――

 ――DESTROY ERASER――


 必殺技発動の青いボタンを押す3人。


「必殺! 私達の必殺技……」


 それぞれの武器にエネルギーを溜める。


「モジシャンバージョン!!」


 そして天音あまねの指示通り、文字化もじばけの右肩めがけて攻撃した。


 モジシャン達の必殺技を受けて、文字化もじばけは爆発した。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 登場人物情報が更新されました


佐倉乃々さくらのの

 19歳。中性

 ミスコンで銅賞を貰えるほどの容姿を持つ。

 彼氏持ち。

 赤いモジシャンに変身する。

 文字石もじいしは『女』


 本当の性別で男で、『女』文字石もじいしによって性転換していた。

 

 そのうち苗字が江角えすみになる


 好きなライダーは、仮面ライダー電王(超クライマックスフォーム)



江角勇助えすみゆうすけ

 19歳。男性

 乃々ののの彼氏。

 青もしくはオーシャンブルーのモジシャンに変身する。

 文字石もじいしは『幾』と『流』


 嫁が他の男に呼び捨てにされるのは嫌いなタイプ


 好きなライダーは、仮面ライダーディケイド(通常形態)。



漢一了かんかずあき

 40代。男性

 ワードカンパニー社長。

 白のモジシャンに変身できる。

 文字石もじいしは『散』


 3人のモジシャンに倒される。


 好きな仮面ライダーは、仮面ライダー2号。



草垣天音くさがきあまね

 18歳。女性

 ワードカンパニーの秘書。


 好きな仮面ライダーは、仮面ライダーレーザー(バイクゲーマーLv.2)



十文字平じゅうもんじたいら

 40代。男性

 文字もじるドライバーの開発者。

 黄金のモジシャンに変身する。

 文字石もじいしは『創』と『壊』

 

 好きな仮面ライダーは、仮面ライダーデューク(レモンエナジーアームズ)


 

佐々木仁ささきじん

 29歳。男性。

 黒もしくは灰色のモジシャンに変身する。

 文字石もじいしは『伊』と『止』


『止』の能力は相変わらず強力


 好きな仮面ライダーは、仮面ライダーナイト



佐々木奈央ささきなお

 享年20歳。女性

 佐々木仁ささきじんの妹。

 マゼンダ色のモジシャンに変身した。


 プロト文字もじるドライバーの欠陥により、死亡

 あの世から皆を見守っている。


 好きな仮面ライダーは、仮面ライダーオーズ(ガタキリバコンボ)


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