時の硲(はざま)で微睡む姫の夢
「
言葉の意味がじわじわと染み込んで来て、僕の胸がふさがり圧し潰される。
「た、助け……たすけて下さい。どうか、お願いします!」
僕は悲鳴のような情けない声を上げ、灰色の少女に向かって土下座した。
『もとよりその心積りじゃ。
そのために召喚術式に割り込んだ。
ここは時の
妾にとっても夢の逢瀬となるのう』
すべてが灰色にみえる空間の中で、赤い
この人は僕がこれから会うことになるっていう、王女なんかより本当はやばいんじゃないだろうか。
悪意とかってより、背筋をぞくぞくするものが這い上がるような、幼いけれど美しく奸智にたけた魔性って感じだ。
『
妾はいずれ死の神となり知の神となる。
そして、淫欲の神ともなる。
いまは抑えておるが、それが妾の本質じゃ。
そしてそれが、妾の叛かんとする宿命でもある』
少女は満足げな様子で
「しっ、死、淫欲って。
その、愛……愛欲の女神とか、じゃなく?」
『そのように綺麗なものではない。
もっとおぞましく穢れたものじゃ。
少女の笑みが陰鬱な
『古く
『じゃが、泥の中から咲く、睡蓮の花のように、もともとが何であろうと、美しいものはあると、妾は信じておる』
上げられた
『妾には愛する
生まれながらにして狂った妾であるが、その
ルシィーリアがだれを愛そうとかまわぬ。
たとえよもなく綺麗だと思った。
僕はこんなふうに純粋に誰かを想ったことがあっただろうか。
「えーと、あの……女神様」
『未だ女神ではないゆえ面映ゆいのう。
「その……未神様は女性でいらっしゃいますよね」
ちょっとひっかかることがあった。
好きな相手も女性みたいだし、まさか男の
『うむ、妾は
されど、魂となる性癖は混沌、
うわー、いいのかな。堂々とカミングアウトしたよ。
なんか、この
僕にはいないけど可愛い妹の
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