災厄の宿命に抗う未然の女神
そこは灰色の霧に閉ざされていた。
どこに立っているのか足下は
まっ白な空間じゃないんだな、そんなことを呟いた。
『テンプレどおりでなくて済まぬのう』
声にふり向くと少女がいた。
小中学生くらいの年齢にみえる女の子で、何故か灰色のメイド服を着ている。
髪や瞳も灰色で
それまでの心ぼそさが薄れて何かほっとした。
いえ、そんなことはいいんですけど、僕もどっからの元ネタかしりませんし。
それより、テンプレでいくとやっぱり、あなたは女神様なんですか?
女神だとしたら、見かけどおりの
なんか口調が年寄りくさいし、ロリババアってやつかな?
あっ、やばい! たぶん思ってることがまるわかりになってる。
これって
どわっと冷や汗を掻き、泡食っておたおたする。
『うーむ、あいにくなのじゃ。
妾はロリではあっても、ババアではないのじゃ。
妾はそなたが赴く世界において数百年後、とある王家に生まれることになっておる。
されど、それは必然ではない。
未来は
妾が女神になるとしたらその頃には、ロリババアになっているやもしれぬが、この身は未だ女神ならざるものじゃな』
少女はあっけらかんとして教えてくれた。
えーと、結局のところどっちにしてもロリなんですね?
『妾は神となることを必然としておらぬ、“未然の女神”とでもいうべきものじゃ。
そして、来たるべき災厄の宿命を未然に
災厄ですか。
これって異世界召喚ですよね。
それと関係あるんですか?
『そのようなものはないのう。
現魔王はやくたいもない争いを好まぬ。
これは人間側の国家が魔王にかこつけて、領土拡大を意図しておるに過ぎぬ。
それ故にやらかした勇者召喚じゃ』
少女は憮然とした面持ちだ。
そんなのありかよと絶句するしかない。
『隷属の魔法は能力まで封じられるから使用すまいが、王女の色香でいいように
まあ、当人達が納得ならそれでよいが、問題はそなたがどうなるかなのじゃ。
そなたはすでに
ど、どういうことです、まさかあれですか?
『そなたの世界のゲームとやらでいうところのステータスをみえるようにした。想い描きさえすればたやすく呼び出せよう』
目の前に透過ウィンドウが開いた。
職業: 盗賊 レベル1
STR(筋力): F 非力
DEX(器用): E 不器用
VIT (頑丈): E 脆弱
AGI (敏捷): E 薄鈍
INT (知力): D 普通
MND(精神): E 気弱
LUK(幸運): E いいことなし
低いとは思ってたけど低すぎる。
のきなみEじゃん、Fもあるよ。
Gなら、幼稚園児くらいだよな。
それはいい、よくないけどいい。
問題なのは
こんなのバレたら変態扱いされるし、
中学に入って
女子更衣室のお喋りなんか聞こえるし、それが結構えげつなくて生々しいし、ものすごくショックだったりもした。
見ないように聞かないようにしようとしたって、自分の意志じゃまるっきりコントロール出来なかった。
毎日、オナニーと寝不足で目に隈をつくって登校し、
終りだ、お終いだ。
女の子達みんなから、嫌われて軽蔑されるんだ。
指差されてひそひそいわれて、唾かけられて
『案じなければならぬのはそのようなことでない。
王とその周囲の者共は
あれらによって
少女はくりんと眉根を曇らせた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます